米小売売上高とPPI指数ともに減少&日本円は復活

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米経済指標発表でFRBの態度軟化に期待

今日の米ドルは昨日に続き、他の主要通貨に対してまちまちで取引されています。

その中でも、リスク連動通貨である豪ドルとNZドルに対して上昇したものの、日本円に対しては下落しました。

他の通貨はレンジ取引となっている状況です。

昨日は12月の米小売売上高の発表があり、総合とコアともに予想以上に減少しました。

鉱工業と製造業の生産も脆弱な結果となって、生産者物価(PPI)指数は年間ベースで予想以上の減速を示しました。

月間総合率も0.2%からマイナス0.5%と予測のマイナス0.1%を下回りました。

上記の指標結果によって、米経済のリセッション懸念はさらに強まると言えるでしょう。

特に低調なPPI指数は、ここ数か月で米インフレが冷え込むことを示しています。

それゆえ、市場はFRBによる利上げ効果が未だ浸透しておらず、今年後半に利下げに傾くと確信する可能性もあります。

先日、FRBのセントルイス連銀ブラード総裁とクリーブランド連銀メスター総裁は、最終金利を5%以上に引き上げる必要性があると強調しましたが、FF先物によると市場は最終レートを4.85%に引き下げ、今もなお年末までの0.5%利下げを支持しています。

この低調な経済指標発表後も、米ドルが下落しなかった理由として、安全な避難所の流入によるものと言えるでしょう。

FRBタカ派発言が影響したと考える向きもありますが、市場の価格設定はFRBの姿勢に強く反発していることを示唆しています。

しかしながら、米ドルが安全資産としての価値を維持し続けたとしても、以前のような安全避難所の地位を取り戻す可能性は低いとの見方が強く、米国債利回りが低下する状況においては、市場がゴールドと円を好む傾向があるので、米ドルはまたすぐに下降トレンドに戻るかもしれません。

日本円が安全資産に復活&市場も日銀政策修正に期待

今日の日本円は上昇し、昨日の日銀政策修正据え置き発表後の損失を取り戻しました。

FRBが金利引締め対策からの脱却を図るタイミングで、日銀が独自の引き締めサイクルに入るとのシナリオを市場は期待しているようです。

昨日発表された米経済指標がさらに米経済への懸念を高める結果となったことで、日本円は安全資産としての地位に返り咲きました。

しかしながら、日銀が引き締め対策に向けた新たな一歩を踏まないと市場が確信していたら、円買いは進行しなかったでしょう。

他の主要中央銀行による積極的な金融引き締めのなか、日銀が引き締めを抑制していた時も、市場は円売り進行でした。

日銀による政策修正への期待は、現段階では春闘での賃金交渉後と黒田総裁の任期満了の4月になると見られています。

FRBの今年末の利下げ観測と日銀の緩和策撤回への期待によって、ドル円は引き続き下落に向かうとの憶測が広がっています。

今日のECB会合議事録公表&総裁発言に注目

ECBが3月の会合で利上げ鈍化を検討とのレポートを受け、ユーロは米ドルに対して昨日1.0800を下回りました。

しかしながら、市場は今もなお、2月と3月の両会合でともに0.5%の利上げを予測しており、このレポートは材料として見なされなかったと見受けられます。

今日は、ECBの会合議事録の発表とダボスの世界経済フォーラムでのラガルド総裁の発言が予定されています。

議事録と総裁の発言がタカ派姿勢を示したとしたら、ユーロドルは反発して上昇トレンドに向かう可能性が高いと言えるでしょう。

米株価は米経済指標の結果を受けて下落

昨日の米株式市場は、経済指標結果がソフトランディングへの期待を押し戻し、3つの指数でそれぞれ1%以上下落する形となりました。

S&P500とダウ・ジョーンズは、ここ1か月で最大の下落を記録しました。

特に、S&P500は2022年1月からの下降トレンドラインからの圧力を受けた格好です。

脆弱な経済指標は企業の収益にも反映するため、株価においてもマイナスに影響し始めている状況です。

第4四半期の収益結果は米経済の脆さを反映するとの予測が広がっており、S&P500の収益は前年比で2.2%減少すると予想されています。

しかしながら、わずかでも堅調な結果によってリリーフ・バウンスを可能にするかもしれません。