米雇用統計控えて様子見&カナダ中銀は利上げ停止

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米労働市場の逼迫で明日の米雇用統計は注目

昨日の議会証言2日目で、FRBパウエル議長は金利を予想よりも大幅にかつ迅速に上昇させる必要性を繰り返し述べたと同時に、今月の利上げ幅は、何も決定しておらず、将来の政策決定もデータに依存することを強調しました。

パウエル議長は、2週間後の会合における0.5%の利上げ憶測を抑えたかったように見受けられますが、市場価格と米ドルはあまり影響を受けなかったようです。市場は未だ70%の確率で0.5%の利上げを支持しており、残りの30%は0.25%の利上げを織り込んでいます。

おそらく、市場は昨日発表された米経済データを材料視した模様です。

ADP雇用統計では2月の民間部門の雇用増加が予想を上回ったのに対して、JOLTの求人件数は1月に予想を下回って、労働市場が引き続き堅調に推移していることが示される格好となりました。

注目は、明日発表の米非農業部門雇用者数で51万7千件から20万5千件に大幅に低下することが予測されていることでしょう。

しかしながら、失業率は3.4%と53年ぶりの低水準で安定しており、平均賃金は前年比で4.4%から4.7%に加速すると予測されているので、この雇用者数が予測通りになったとしたら、米ドルへの影響は限定的となるでしょう。

ただ、1月の米CPI指数の加速に加えて、平均賃金の上昇が確認されたとしたら、市場はインフレ加速を警戒して、FRBによる大幅利上げ観測を支持する可能性があります。

これによって、米ドルは上昇傾向になる可能性があります。

カナダ中銀利上げ停止によりカナダドル下落

昨日はカナダ中銀が金利据え置きを発表したので、カナダドルは主要通貨のなかで、とくに下落しました。

カナダ中銀は、世界の中銀の中で初めて利上げ停止を実施しましたが、声明の中で必要に応じて利上げを行うことを明らかにしました。

また、最新の経済指標ではカナダのCPIインフレ率が夏ごろに3%まで低下すると予測されています。

そのため、市場はカナダ中銀が利上げに関して、しばらくは傍観すると解釈されてカナダドル下落に結び付いたようです。

それにもかかわらず、市場はカナダ中銀による12月までの0.25%の利上げを織り込んでおり、今後の経済データが軟調になったとしたら、さらなるカナダドルの下落となる可能性があります。

カナダの次の重要な経済データは、2月雇用統計となるでしょう。

雇用数はおよそ1万件ほどの上昇であったものの、失業率は5.1%まで上昇すると予測されています。

米雇用統計の堅調さを踏まえると、米ドルはカナダドルに対して上昇し、10月13日にピークに達した1.3980辺りまで近づく可能性が高いと言えます。

明日は黒田日銀総裁による最後の政策発表

明日は日銀の政策発表が控えています。

黒田総裁の任期終了前の最後の会合となるので、大きなサプライズがあるのか、はたまた静かに後任者にバトンを渡すのかが注目されます。

最新の経済データによると、明日の会合で正常化に向けて新たなステップに向けて急ぐ必要はないことが示されています。

日銀の中には、日本のインフレが主に内需ではなく、輸入コストの高騰によると指摘する声も多く見られる中で、債券市場に関する最新の調査では昨年12月の日銀によるイールドカーブ・コントロール修正が市場の歪みの修正とはならなかったと示唆されています。

それゆえ、明日の会合で日銀による何らかの修正を期待する声も一部あるようです。

したがって、明日の会合で金利緩和策撤去に向けて行動しないとしたら、市場の一部による失望をきっかけに、日本円が下落へ向かう可能性もあるでしょう。