リセッション懸念で安全資産として米ドル復活

news-20230406

安全資産として米ドル復活か

昨日の米ドルは、多くの主要通貨に対して反発しました。

例外は日本円とニュージーランド準備銀行による利上げ決定で恩恵を受けたNZドルだけでした。

円高となった背景には、米ドル上昇が米経済指標の結果ではなく、リセッションへの懸念が高まっているな、安全資産としての地位が回復したためです。

今週発表された低調なISM製造業指数と求人件数の減少に続き、ISM非製造業調査も期待外れの結果となりました。

ISM非製造業指数は減少して、拡大と縮小の分かれ目である50に近づき、新規受注と雇用指数および物価指数も予想を下回る結果となりました。

サービス部門が米国のGDPの80%を占めることから、昨日のデータは米経済の健全さに対して不安材料となり、市場によるFRB金利予測の下方修正となった模様です。

今のところ、次回会合で0.25%の利上げが必要かどうかについては意見が分かれていますが、年末の予想金利は4.0%まで低下している状況です。

昨日はADPによる雇用報告も発表されて、民間の3月の雇用は2月よりも大幅に減少したことことを受けて、米労働市場の冷え込みの兆しが見られました。

先週の米失業保険申請件数も今日発表される予定で、明日の非農業部門雇用者数とともに労働市場を見極めるうえで注目が集まります。

安全資産としてゴールドが最適

一方で、米ドル上昇にもかかわらず、米国債利回りは低下したのでドルの流入が安全市場への逃避であったことを裏付ける形となりました。

昨日、ゴールドは続伸して、今日は小幅下落していることも信憑性を高めています。

しかしながら、夏ごろのFRBによる方向転換への期待が高まるなか、米国債利回りが低下しているので、米ドル上昇は限定的となる可能性が高いと言えます。

利回りがその魅力を失い続けたとしたら、市場はゴールドや日本円といった安全資産へ逃避することになるでしょう。

ただし、日本のインフレは冷え込んでいる状況なので、日銀による金融緩和政策撤廃への期待が高まるなか、ゴールドの方が選択される可能性が高いと言えるでしょう。

リセッション懸念からS&P500とナスダック続落

米株式市場ではダウ・ジョーンズが小幅上昇しましたが、ナスダックとS&P500は続落したことで、市場が金利低下の見通しに後押しされず、リセッションへの懸念が重しとなっていることを裏付けしました。

しかしながら、テクニカルな状況は比較的底固く推移しているので、ネガティブなニュースは株式にはポジティブなニュースにならずに、実際にネガティブなニュースと市場のセンチメントが変化したと断定するにはまだ早い段階と言えます。

現在、ナスダックはキーゾーンである12,900辺りで推移しており、S&P500も後退していますが、主要なレジスタンスゾーンである4150近くに留まっている状況です。

もし、これが3800のゾーンを下回ったとしたら、決定的な下落と判断されて、今後の先行きに暗雲が垂れ込めることになるでしょう。