FRB利上げ鈍化への期待から株価高騰&米ドル下落

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FRBの方針について市場が分断

FRBがFOMC会議で大幅利上げの終息を示唆するか注目が集まる中、大手テクノ企業の決算報告で景気後退が明らかになり、米株式市場の積極的な金融引き締め政策の緩和に期待が高まっています。

このFRBの政策に対して、識者によっては懐疑的な意見が多く、米国債の利回りが下落しているため、この期待感に早くも陰りが見えています。

その一方で、FF金利先物によると、ターミナルレートが5%弱になるとの見通しで合意しているようです。

11月のFOMC会議にはかなりの不確実性があり、0.75%の利上げは完全に織り込まれていますが、インフレだけでなく労働市場でもデータが堅実であれば、パウエル議長がタカ派の発言に対してトーンダウンさせるかどうかは今のところ不明です。

今週のFRBが利上げ政策に関して方向を転換するとの期待は、FRBの利率を「高率で継続的」とする方針と相反するため、リスクがあるといえるでしょう。

株価上昇へ

国債利回りが急激に上昇したにもかかわらず、パウエル議長は近い将来利上げが鈍化する可能性を示唆するだけなので、これ以上のリスク上昇に歯止めをかけることが可能と判断している可能性が高いです。

米株式先物は欧州市場で上昇し、31日の大手テクノ銘柄によるセルオフがNASDAQを1%下落させたことで損失の一部を取り戻すことに成功しました。

また、エネルギー株はプラスを維持し、バイデン大統領が石油・ガス会社に対して課税を強化することを議会で検討するよう話が進んでいます。

一般的に11月は歴史的にみて、株式には良い月とされ、現段階ではいいスタートをきっています。

中国政府のゼロ・コロナ政策の終了検討に関する未確認のレポートによって、アジア市場もこの勢いに便乗していく可能性もでてきました。

この中国のコロナ対策によって中国経済の減速が深刻化し、中国と香港市場は7月から下落傾向にあります。

しかし、上海のディズニーランドと米アップル社のiphoneのメーカーであるフォックスコン社工場のロックダウンによって、株式市場は一時下落しましたが、ハンセン指数は劇的に反発し、中国のCSI300指数も大きな上昇傾向にあるます。

米ドル安に転換し、円や他の主要通貨上昇

中国のゼロ・コロナ政策収束の可能性を受けて、上昇した豪ドルとNZドルは、対米ドルでの上昇牽引に一役買っています。

オーストラリア準備銀行のロウ総裁の予想を上回るタカ派的発言も豪ドル高の追い風となり、市場の予想通り、昨日には0.25%の利上げを発表しましたが、ロウ総裁は今後の大幅な利上げの余地も残しました。

昨日、ECBのラガルド総裁は追加の利上げの可能性を示唆しましたが、本日のユーロ/ドルは若干の上昇にとどまりました。

今週木曜日にイングランド銀行による0.75%の利上げが確実視される中、ポンドも若干回復し、対米ドルで1.15ドル台を試す展開となり、英国債利回りは予想外に安定して推移しているのが現状です。

米ドル安の恩恵で円もおよそ1%上昇しました。市場の動向に今後も注目です。