FRBの金融政策決定に注目
昨日の主要外貨に対する米ドルは変動がありましたが、本日は売りベースで取引されています。
FRBのパウエル議長が、本日の金融政策決定の発表時に何らかの形で利上げのペースを鈍化させるのではないか市場の期待が高まっています。
今回のFRBで4回連続で0.75%の利上げを行うことは一致していますが、来月には0.5%になるか0.75%の継続かで意見が分かれています。
数週間前に12月の利上げ鈍化の可能性についてレポートされた時に、FRBのタカ派発言に疑問が投げかけられました。
理由は、多くのデータが脆弱であったことと他の主要中央銀行による利上げ遅行の兆候によって、FRB利上げ鈍化説に信ぴょう性が含まれました。
米GDPレポートの速報値は、年率換算で前期より2.6%増と数値的には良いものですが、これだけでは不確実性が高く、パウエル議長らが経済リスクに対して重きをおき、将来的な利上げ鈍化に同意する可能性もあります。
9月初めのJOLT求職の堅調な結果によって、1日の市場はターミナルレートを若干上回る調整をし、いまだにFRBよりも高い金利を打ち出しています。
なぜなら、FRBタカ派が織り込まれていないので、さらにドル売りになる可能性があるからです。
もし、パウエル議長がハト派的な発言を避けるなら、米ドルの後退は金利引き締めから緩和への方向転換を指し示しているとは言えず、世界の主要な中央銀行が利上げの鈍化を示唆しているにもかかわらず、FRBだけがタカ派に執着する可能性もあります。
今日は日本円がドルに対して最も上昇しましたが、日銀・黒田総裁が長期金利の上限を0.25%程度に抑えることも一つのオプションとしてあり得ると発言したことが影響したものと推測されます。
このような発言はドル円をさらに下落させる可能性がありますが、FRBが引き締めを強化し、日銀が長期国債をゼロ利率あたりに調整し続けた場合、ドル安への方向転換はまだ時期が早いといえるでしょう。
米求人労働異動調査の堅調な結果を受けて米株式市場は下落
欧州株式市場は、FRBの利上げ鈍化への期待感と中国が来年3月にもゼロ・コロナ政策を緩和するのではとの未確認レポートから、良いスタートをきりました。
米9JOLT求職の強い結果は引き続き堅調な労働市場を鮮明化し、今日のFOMCでのハト派寄りな見解を期待していた投資家を落胆させました。
この流れで、ターミナルレートの5%を超えた予想が再検討されましたが、12月のFOMC政策会合の市場予想への影響はほとんど見られず、今日の日本市場ではリスクオンの流れが加速しました。
FRBの積極的な政策のレセッション予想、米決算の予想を上回る結果と他の中央銀行による景気減速の見解が、最近の市場の動きと重なり、リスクオンムードを後押ししている格好になっています。
市場の関心が世界的なリセッションへの懸念であることを踏まえると、相場転換および最高値更新の可能性は低いといえるでしょう。
中国のゼロ・コロナ政策による需要懸念の緩和を背景にリスクオンムードの加速が、原油の価格を上昇させただけにとどまらず、昨日の下落幅を回復させましたが、株価同様に、しばらく世界的なリセッション懸念は原油価格の上値を重くすると推測されます。