パウエル議長の発言でドル高、英中銀も大幅利上げ

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パウエル議長のタカ派発言

米ドルは主要外貨に対し上昇して取引を終わり、引き続き上昇傾向で、米ドルは復調です。

理由は先日のFOMC会議後の声明が市場の期待に応えたものであったが、パウエル議長が予想外にタカ派的な発言をしたことにによるものです。

FOMCによる4回連続の0.75%利上げは大方の予想通りであったものの、実際には政策決定後の声明で小幅な利上げも将来的にあり得ると示唆したものだと思われていました。

しかし、記者会見でのパウエル議長は、利上げの一時停止は時期尚早であり、前回の利上げ後のデータはターミナルレートが前回の予想以上に高くなることを示していると発言しました。

よって、2023年の予想中央値である4.6%に引き上げられることはないとの見方が強まっています。

FRBの大幅利上げとパウエル議長の発言で、来月12月の利上げは、今のところ0.5%か0.75%になるか意見が割れますが、ターミナルレートについては5.15%近くまで引き上げたことから、2023年末までには約4.85%あたりの利率が予想されています。

これは、FRBの予測値より0.25%高い率となります。

米ドル上昇&株価下落

FRBが今後、どこまでタカ派発言を続けるかが焦点になります。

そのため、発言に変化がみられるようになるとドル高が継続される可能性が高まります。

昨日の失業保険申請件数の好調ぶりと今日の雇用統計の発表によっては、ドル高が勢いを増す可能性は十分にあるます。

しかし、さらなるインフレ緩和もしくはリセッションの深刻化とともに米ドルは急激に下降する恐れもあります。

他の世界主要中央銀行が利上げの鈍化に向かっている中、FRBのみがタカ派の方針を継続する可能性があるため、今のところFRBがタカ派から急な転換を図るという見方はかなり弱いといえます。

パウエル議長の発言は米株式市場にも影響を与え、主要3指数は下落で取引を終えました。

大手ハイテク銘柄を取り扱うナスダックは3%以上もの下落をし、投資家たちにとって金利と金融政策が強く影響を与えることを裏付ける形となりました。

仮に近い将来、利率鈍化への新たな期待から株価の購入が増加したとしても、世界的なリセッションと高騰するインフレへの懸念で株式市場が過去のように賑わいを見せる様相を呈すには、また早いといえます。

英中銀の決定でポンド上昇

イングランド銀行は引き締めムードを引き続き継続する予定です。

トラス政府による財政源の不確かな減税案による経済混乱以降、初となる昨日の金融政策委員会では、トラス首相の辞任によって、大幅な1%利上げへの圧力が緩和されたのはよい兆候かもしれません。

投資家、エコノミストともにおよそ0.75%の利上げを予想していますが、スナク政府が秋の予算案を今月17日に遅らせたことで、財政政策がイギリス経済に与える影響を予測することは困難になりました。

したがって、イングランド銀行がより安全な方向に舵を切って、小幅な0.5%の利上げを落とし所と見ている可能性があります。

イングランド銀行は今年末にもリセッションに陥るとの見方があり、10月の購買担当者景気指数(PMI)が予測値ほど優れなかったことから、小幅な利上げ説は信じるに十分な要素であるといえるでしょう。

イギリスは10%を超えるインフレ対策のため、今後の暗雲たちこもる経済へのパースペクティブからこれ以上の利上げは正当性を欠くためため、来月12月以降には利率を鈍化に転換するかもしれません。

いずれにせよ、どちらの利上げ率に決まったとしても、ポンド安に動く可能性があるのでポンドが上昇し、金融政策を維持するためにも、イングランド銀行は近い将来に向けて大幅0.75%の利上げの可能性について言及する必要があるかもしれませんが、実際に展開される可能性は低いといえるでしょう。