米雇用統計の結果でドル下落 投稿者: kaigaifx-trade2022年11月7日2022年11月8日市場ニュース 米雇用統計は混乱し絡み合う結果 先週発表された米雇用統計は、金融市場を混乱させました。非農業部門雇用者数は予想を大きく上回り、平均時給も増加しました。しかし、家庭調査では良い結果をもたらさず、労働参加率が低下したにもかかわらず、失業率が急上昇しています。統計結果の相反する結果によって、米ドルの下落につながりました。なぜなら、雇用者数はさらに26.1万人増加しましたが、32.8万人が失業している状況という相反する状況をどう捉えるかで結果が左右されるからです。結果的には、失業率の上昇に市場がフォーカスしたため、米ドルは下落に向かいました。雇用統計の発表後にユーロは対ドルで2%上昇したので、FRBが12月に0.5%の利上げをする可能性が高いと市場が判断していることが伺えます。今回のこの動きは、ユーロ、ドルともにかなり大きな分岐点だといえます。 ドル&ゴールドは様子見 米ドルは今のところ堅調ですが、今回の上昇も最終局面に入っている可能性があります。FRBは利上げ鈍化に方針展開する準備が整いはじめ、他通貨のファンダメンタルズも回復の兆しをみせています。また、欧州のエネルギー価格急落によって、イギリス経済も少し落ち着きを取り戻し、日銀においても国債の利回り上限を調整する方向です。世界経済のリセッションの影響で、ドル高はしばらく続く可能性はありますが、それも限界がみえてきたようです。さらなるドル高を念頭におくのは、判断材料に乏しくいい選択肢とはいえないでしょう。先週、ドルと実質利回りの冷え込みで、ゴールド価格は3%の上昇しました。ゴールドは1615ドル付近のサポートベースになりましたが、依然として安定しだしたかを判断するのは時期尚早でしょう。安定したと判断する材料としては、ドルと利回りの継続的な下落が必要になりますが、その兆しはまだ弱いため、様子見の姿勢がリスクオンの観点からは必要でしょう。 米株価の上昇と今週の重要イベント 米株式市場においては、米利上げペースの鈍化予測だけでなく、米雇用統計の不安定な結果によって、株高の流れが前進し、S&P500が1.4%上昇しました。また、中国でのコロナ規制緩和の可能性も、株高を推し進める材料でしょう。しかし、先週末の中国の国家衛生局はゼロ・コロナ政策維持の姿勢を改めて示唆しました。ゼロ・コロナ政策の影響で、直近の中国貿易収支では、輸出および輸入は減少しています。アップルは、中国の規制によってホリデーシーズンに向けた出荷に影響が出ることを警戒しています。明日の米中間選挙と木曜日の米10月消費者物価指数発表など、今週は重要なイベントが予定されています。世論調査および市場の予想では、ねじれ議会となり分断がさらに広がることが懸念されています。下院は共和党の過半数獲得、上院は接戦が予測されている状況です。株式市場への影響については、ビジネス規制および法人税引き上げへの緩和期待によって、ねじれ議会がリリーフ・ラリーになるか見極めるのは今のところ判断は難しいといえます。ねじれ議会によって、経済成長減速およびインフレ鈍化と混迷の極めた状況で新たな財政支出への反発が生じて、米ドルが下落に反転する可能性もあります。しかしながら、すでに市場ではねじれ議会を踏まえた状況であるため、市場の反応はおおむね緩やかになると予想されます。