米ドル下落&ポンドは明日の財政計画発表次第

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FRB発言で米ドル下落

昨日の米ドルは他の主要通貨に対して上昇しましたが、理由はFRBウォーラー理事が将来的な利上げ鈍化の可能性は認めたものの、インフレに対しては固辞したままであったためと予想されます。

本日の米ドルはやや後退気味ですが、これはFRBブレイナード副議長が利上げ鈍化の必要性を示唆し、インフレーションを抑制する方向で協議していると発言したためです。

先週の米消費者物価指数の減速から、米ドルは強い売りへと転換しました。

今後の利上げ鈍化への予想から、他の主要な外貨がドルに対して大きく復調しています。

ポンドは長期間、下落トレンドでしたが上昇に転換し、ユーロはレジスタンスとなる$1.0095を上回り、カナダドルも上昇しています。

今後、FRBの利上げ鈍化が着実に進行していくことで、ドル売りは避けれないでしょう。

しかし、市場の織り込みは2023年末までに0.5%の利下げを含むため、ドルのリバウンドも予測されます。

本日発表される10月の米生産者物価指数は、消費者物価指数と比べると市場の反応は小さくなると予想されるため、金利が現在よりも長くとどまる可能性もあります。

そのため、米ドル逆転の兆候はまだ弱く、米ドルのさらなる下落は市場にとって調整と見なされる可能性が高いと言えるでしょう。

英インフレデータ&財政計画発表

今週はポンドが注目されていますが、英国のGDP予想では、英経済は予想以上縮小しており、スナク政府による初めての財政計画発表とともに、9月の雇用統計および10月のインフレデータが注目を集めています。

英雇用統計は今日すでに発表され、失業率が前月比0.1%上昇し、ボーナスを除く賃金は若干上昇しています。

しかし、インフレは10.1%で推移し、実質賃金はマイナスを維持しています。

水曜日のCPIデータで、インフレは10.8%まで加速しており、消費者への打撃は依然として芳しくありません。

イングランド銀行ベイリー総裁が会見において、高騰するインフレよりもリセッションに警戒感を表しているため、10月にインフが著しく加速したとしても、財政計画発表前にイングランド銀行が利上げ路線を変更することは考えにくいでしょう。

今のところ、12月に0.5%利上げするとみられており、明日の財政引き締め案の発表が下振りのリスクを示しているので、イングランド銀行の予測が変更されることはないと言えます。

上記の理由により、将来的にポンドはさらに売りのリスクを抱えていることになります。

ポンド対ドルの通貨ペアは潜在的にポンドの弱さを利用するには最適な組み合わせではないかもしれません。

豪ドルがポンドに比べると相関関係がよいので、ポンド対豪ドルのほうが良い選択肢の可能性があります。

欧州株価上昇&米株価下落

独国債利回りの堅調な上昇によって長期的金融目標が引き上げられ、昨日の欧州株式は上昇して引けました。

アメリカ時間では市場の流れが急激に転換し、FRBウォラー理事の発言が意識されたためか、米主要株価指数の終値は下落しました。

今日のアジアおよび欧州株式市場では市場ムードが再び復調の兆しを見せ、米主要株価先物指数は上昇しています。

今後予定されているブレイナードFRB副議長の発言で株高に転換する可能性があるので、株安トレンドが再開するには、まだ時間がかかるでしょう。

中国政府によるコロナ規制緩和に対する姿勢でリスク資産が前進する形となりました。

しかし、新規感染者数が再び増加した場合には、ロックダウンされる地域の拡大が十分にあります。

市場はFRBのハト派寄り政策をすでに織り込んでいるため、タカ派寄り政策へのサプライズの余地も残しているので、株式市場の動きは一時的な調整の動きで進んでいく可能性が高いでしょう。