米PPI指数伸び減速によってFRB利上げ鈍化か
昨日、米ドルは下落傾向が続きましたが、ポーランドでのミサイル爆発のニュースで、少し回復を見せたあとに、他の主要通貨は下落して取引を終えました。
米10月の生産者価格指数がヘッドライン&コア指数ともに予想を上回る形で減速したことで、米ドルはさらに緩やかな下落へと向かっています。
生産者価格指数は、先週の消費者物指数上昇の減速を改めて意識させるとともに、インフレが将来的に緩和傾向にあることを示唆しています。
市場は今のところ、およそ90%が来月のFRB利上げ0.5%を支持し、残りのおよそ10%がいまだに利上げ0.75%を信じています。
来年末までに、ほぼ0.5%の利下げを織り込むなか、FRBよりもハト派の見解と言えるでしょう。
FRBとしても利上げ鈍化を支持しつつ、金利が最終レベルに達するまで引き締めを示している状況です。
今後、経済指標がこのFRBの利上げ鈍化をさらに支持するようになると、米ドルは引き続き下落することになると予想されますが、来年におそらく2回の利下げが見込まれるため、米ドル復活の可能性もあります。
本日発表の米小売売上高が予想を上回って上昇した場合、米ドル復活の兆しが見えてくることになるでしょう。
したがって、米ドルの将来的な下落で今のところ大きな弱気トレンドへの転換ではなく、大幅な下降調整になると思われます。
ポーランドでの爆発は限定的に影響
欧州および米株価は先日の復活から引き続き伸び、ナスダックはFRBの利上げ鈍化の期待から1.45%まで上昇を見せました。
市場が閉鎖する数時間前のウクライナ国境付近のポーランドでのミサイル爆発ニュースがなければ、株価はさらに上昇していたと思われます。
この爆発によってポーランド人2人が死亡し、当初はロシアからのミサイルとの憶測がありましたが、米政府がロシアの攻撃に対するウクライナのミサイルの可能性があることを示唆しました。
日本時間では、今日はリスクオフが広がり、多くのアジア指数がマイナス取引をされ、米ドルが安全資産として買われる形となりましたが、米ドルの回復も欧州時間の開始とともに勢いが失われ、米先物はニューヨーク市場で高いオープンを示しています。
理由は、ニュース直後に心配されたようなウクライナ戦争が他国を巻き込むような戦争にならないと判断したためです。
したがって、取引を行う上では依然として金融政策が最も注目されているのが現状です。
このためFRB利上げの鈍化を示す経済指標や高官の発言が続くと、リスク資産に注目が集まり、株価の復活に向けた動きが活発化するでしょう。
英CPIは41年ぶりの高水準で英財政計画に再注目
本日発表された英10月消費者物価指数は、前年同月比11.1%も増加し、実質賃金のさらなる低下および可処分所得の最低水準の更新が鮮明化した形となりました。
英10月消費者物価指数発表の前には、市場で0.50%の利上げが確実視されていましたが、指標発表後には、0.50%か0.75%の予想に分かれています。
ターミナルレートにおいても、4.5%付近から4.57%に引き上げられましたが、ポンドの反応はあくまで限定的でした。
英10月消費者物価指数発表時のポンドドルは30ピップスほど上昇したうえ、1.2000付近レジスタンスラインを突き抜けたあとに押し戻されました。
明日の英財政計画発表を前に、ポンド相場は慎重な展開となっています。
英ハント財務相が増税および歳出削減計画を発表すれば、イングランド銀行の経済成長見通しにさらなる悪化を引き起こさせると予測されます。
それゆえ、12月の0.50%利上げ予想の復活が予想されることになるでしょう。
本日の後半には、カナダ10月消費者物価指数も発表される予定で、前年同月比6.9%増が予想されています。
これまでで最も積極的な利上げ政策の終了が間近に迫っていると示唆されるのかに市場が注目しています。