米ドル復活も原油は一段下落&株価は横ばい

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中国政府コロナ政策強化による米ドル復活

今月、米インフレ減速とFRB利上げ鈍化の見方により、米ドルは若干の下落傾向にありましたが、今日の米ドルは堅調を維持し、安全資産として再び復活の兆しを見せつつあります。

先週中国はコロナ感染者数の増加に対処するため、複数の大都市で感染対策強化を実施し、ゼロ・コロナ緩和の期待が失われました。

先日発表された中国政府による不動産市場への金融支援策が不十分であったこともあり、中国経済復活の見方はまだ早いとの見方が強まっているのが現状です。

中国の規制緩和への期待が薄れたことで、世界市場ではリスク回避の様相を呈しています。

為替市場で豪ドルとカナダドルが最も下落した通貨でした。

豪ドルは中国経済への依存度が高いことが影響し、カナダドルは世界のリスクと相関性があるため下落しました。

リスク回避が広まる現在、米ドルが最も上昇する結果となりました。

今週水曜日は、FOMC会議議事録の公開とS&Pグローバル企業調査が待ち構えています。

FOMC政策会合は、米インフレ指標発表前に開催されているため、議事録の内容は反映されていないのが現状ですが、FRB利上げの意図は米ドル上昇の判断材料になる可能性は高いと言えるでしょう。

原油は下落、ゴールド後退気味

先週の原油相場は需要の懸念が順調な供給の兆しをかき消したため、大きな損失となりました。

世界の燃料の需要は減り続けており、中国のコロナ増加も相まって多くのデータが欧州とイギリスでリセッションが進むと示唆しています。

原油はOPECによる減産計画発表にも関わらず、供給面で需要崩壊の見通しを覆すには不十分だったようです。

また、欧州では来月からのロシア原油禁止を前に精製業者ができる限り注文を増やしたため、原油過多となっています。

コモディティでは、ゴールドが後退気味であり、予想を下回った米インフレ発表後は利益の一部を失いつつあるのが現状です。

ゴールド取引は今年の大きな変化によって、今までの安全資産神話が崩れ、米ドルと米国債利回りの動きを反映する役割になっています。

それゆえ、ゴールドはあくまで金利予想のバロメーターとなっていると言えるでしょう。

米株価下落

先週の株価は横ばいを維持する結果となりました。

市場は下落が一時的なもの過ぎないか、あるいはトレンド転換の予兆なのかを見極めようとしています。

株式市場と債券市場は対極関係にありますが、株式市場での判断および米企業の決算予想がソフトランディングな現状の経済と一致しているなか、逆イールドは債券市場でのリセッションを予想しています。

債券市場のみならず、他の主要な経済指標はリセッションの兆しを明確に示唆しています。

ビジネス景況感指数は需要鈍化と小売売上高は在庫増加を示し、住宅市場は支払い遅延と消費者信頼感低下を鮮明化しました。

来年の決算予想が経済指標の結果に織り込まれていない場合には、株式市場の乱高下は継続する可能性が高いでしょう。