FOMC議事録発表後に米ドル下落&米株価上昇

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FOMC議事録でオーバーシュートの懸念

一段と下落した米ドルは下落基調を継続しました。

FOMC議事録の発表後に投資家はロングポジションの手仕舞いに動きました。

FOMC議事録は急速な金融引き締め効果で、ゆるやかな利上げへの移行に多くのFOMCメンバーが同意したことが明らかになりました。

しかし、最も重視されたのはオーバーシュートへの懸念でした。

FOMCメンバーは、利上げペースよりもターミナルレートおよび金融政策が重要な課題であると強調しはじめました。

パウエル議長は、記者会見で利上げ停止を検討するには時期尚早であると発言しましたが、FOMCメンバー全員がパウエル議長と同じタカ派的な見解ではないことが浮き彫りとなりました。

FOMC政策会合がインフレ発表前に開催されたことは、2023年末までの約0.5%利下げ予想の追い風となった形です。

インフレの予想以上の低下が鮮明化した今も、複数のメンバーは利上げペース鈍化に反対している状況です。

米総合PMIが5か月連続で景気拡大・縮小の節目である50を下回っているので、しばらくは米ドル安は継続すると予測されます。

12月のFOMC政策会合は、調整の動きが終わるか下落転換を判断する材料となる見方が強まっています。

利上げの決定よりも発言のトーンと最新の経済見通しが注視されるでしょう。

米感謝祭控えて米株価上昇

FOMC議事録の内容で米株価は上昇し、米感謝祭前の取引を上昇して引けました。

利上げに反応するナスダック指数は、政策金利によるバリュエーションへの影響が予想を下回った期待で、さらに1%上昇しました。

今のところ、株式市場の大きな転換は小さいと言えるでしょう。

市場がFRBのリセッションの兆候に目を向ける一方、他の主要な中央銀行では、すでに利上げペース鈍化に動いています。

これによって、FRBは最もタカ派寄りの中央銀行になっている状態です。

米経済指標の燦々たる結果は、利上げペース鈍化見通しを後押しする形になったものの、株式市場は経済の蚊帳の外の状態です。

これから、見通しが一段と悪化したときに、経済結果が株式市場に反応しだす可能性はあります。

今日の米株式市場は、感謝祭の祝日で閉場となっています。

G7の原油価格上限設定検討で原油価格4%以上下落

FOMC議事録後にもかかわらず、昨日の原油価格は大きく下落しました。

G7がロシア産石油の価格上限設定を計画していることがその理由のようです。

一方で、米経済指標は予想を上回るガソリン在庫が公になりました。

ブレント原油先物とWTI原油先物は4%以上値下がりしています。

原油最大の輸入国、中国での需要が鈍化するとの憶測が広まる中、G7の動きは原油安を加速させる形となりました。

中国では新型コロナウイルスの感染者数が増加したことで、改めて規制が強化されています。

中国政府が預金準備率引き下げに積極的な姿勢を示唆したことで、サポート水準の下抜けは先延ばしされる可能性が高まりました。

中国でのロックダウン緩和の期待が後退し、中国経済の回復はまだ時間がかかりそうなため、原油価格が9月安値を割り込むのはそう遠くないかもしれません。