FRB議長発言に注目
米ドルは今日、さらに広範囲な売り圧力があるようです。
昨日の米ドルは他の主要通貨に対して共通性がない形で取引されました。
中国政府のゼロ・コロナ政策緩和への期待がリスクオン復活につながりましたが、今日のFRBパウエル議長の発言前に市場は慎重な姿勢になっている状況です。
FRBと市場予想では、これからは緩やかな利上げで一致しています。
しかし、ターミナルレベル到着後の金利政策では意見が分かれている状況で、FRBとしては利上げピークに到達後、政策金利の高水準の維持を主張している一方、市場は来年の末までに0.5%の利下げを織り込んでいます。
それゆえ、パウエル議長は市場の早期利下げ転換の期待をけん制する方向で発言するとの見方が強まっているます。
10月のインフレ鈍化発表前に、パウエル議長は利上げ停止との考えは時期尚早と発言していたので、今日も一段の引き締めと高金利政策の必要性を強調する発言に終始すると見られています。
米ドルはFRB発言に反応して上昇する可能性もありますが、上昇相場への転換時期と判断できるかは今のところ不明です。
市場は米ドルを調整モードと見て、FRBがタカ派主張を続けてるにもかかわらず、年度の利下げを織り込んでいます。
市場が米ドルの長期的な横ばいに呼応しない場合には、米ドルの新たな売りと直近の下振れ調整の延長に向かう傾向が強いでしょう。
今日ユーロCPI指数発表
今日、ユーロ圏のインフレ率速報値が発表されるので、ユーロドル相場はパウエル議長の発言前にポジションを一旦調整する形になるでしょう。
ユーロ圏のCPI指数は前年比で10.6%から10.4%に低下すると予測され、独CPI指数が予想を下回ったので下揺れリスクが浮上している状況です。
昨日の独CPI指数の発表後、市場ではECBの利上げは0.75%よりも0.5%の可能性が若干高いと推測されたようです。
数日前までは、インフレのピークアウトへの期待から、0.75%の利上げが確実視されていました。
今日のCPI指数の予想以上に減速すると、ユーロ後退につながる可能性が高まります。
しかし、ユーロ圏は今のところインフレ率が二桁台で、コア指数がECBの目標を大幅に上回り、PPI率が40%以上という未だかつてないレベルで推移しています。
それゆえ、ECBはインフレ抑制のために金融の引き締めを緩和する可能性は低いでしょう。
今日予定されているFRBパウエル議長のタカ派発言とユーロ圏CPI指数が予想以上に鈍化した場合、ユーロドル下落の余地があると言えます。
しかしながら、今後数か月以内のユーロ圏のインフレ回復の可能性で、ECBの大幅利上げへの必要性が改めて検討されるかもしれません。
したがって、ユーロドル回復は今のところ引き続き続く可能性があります。
パウエル議長発言で米株価は堅調推移か
昨日、米株式市場は下落しました。
政策金利に反応するナスダック指数も下落し、パウエル議長の発言前に消極的な姿勢が鮮明化した形となりました。
パウエル議長の発言がタカ派的になれば、一気に売り圧力が強まるでしょう。
S&P500が3920のサポートラインを割り込めば、11月3日に記録した3695が見えてくるようになるでしょう。
2年ぶりの安値3490までは、まだ十分な距離があるので下落相場再開との見方はまだ早いと言えます。
パウエル議長がタカ派姿勢を示唆したとしても、翌年の利下げ予想が市場ではまだ強く認識されているようです。
そのため、今後の米ドルはさらなる下落余地がある言えるので、株価の回復の可能性があります。
中国のコロナ規制緩和予想と米ドルの下落によって、今日の原油価格はさらに上昇しましたが、中国の11月製造業PMIが良くなければ、原油価格の上昇はさらに拡大していたでしょう。