FRB議長発言で米ドルが急落
今日の米ドルは他の主要通貨に対して下落しています。
理由は、昨日のFRBパウエル議長はタカ派姿勢を弱めたためでしょう。
パウエル議長は、早ければ12月にも利上げの減速はあり得るとし、インフレはまだ終わりではないと発言した。
予測された範囲内での発言でしたが、インフレ抑制のための一段の利上げの必要性と制限的な水準維持の期間についても言及しました。
先月行われたFOMC会合後の記者会見でパウエル議長は、利率のターミナルレベルは予想以上に高くなる可能性があるとして、利上げ停止を考えることはまだ早いと発言していました。
昨日はターミナルレベルに関して、9月予測の4.6%よりも若干高くなるだろうとの見解を示しました。
パウエル議長の発言は金利政策に関して、より軟化する姿勢への転換と市場は判断するかもしれません。
市場はターミナルレートが5%を若干上回るとの憶測が広まっていましたが、今日は来年5月に4.9%前後でのピーク達成に修正しました。
パウエル議長はすぐに利下げをスタートすることは回避したいながらも、過度の引き締めは望んでいないとの発言しましたが、市場は今なお翌年末に0.5%の利下げを引き続き織り込んでいる状況です。
市場ではFRBの姿勢の変化にもかかわらず、利下げ予測の方向に未だ傾いている可能性があります。
それゆえ、タカ派を支持するデータや発言よりも、よりハト派的な発言に反応していると見受けられます。
パウエル議長の発言によって、一時的に米ドルは上昇に転じましたが、結果下落しました。
米株価は上昇で回復
市場がFRBの来年度利下げを確信したら、米ドルはしばらく下落する方向になるでしょう。
一方、株式市場は一段と回復する見込みです。
昨日の米株式市場は3つの主要指数すべてが2%以上も上昇し、ナスダック株価も4.41%上昇しました。
FRBの本格的な強気姿勢の反転を論じるのはまだ時期尚早でしょう。
市場は現在もFRBの利上げ鈍化およびターミナルレート低下への見解を支持しています。
企業も今後数か月および数年の予想キャッシュフローを割り引いて評価されるので、金利の低下は現在価値の上昇に結びつきます。
しかし、今後の利上げ鈍化の見方が強まっているにもかかわらず、経済成長の後退は株式市場にとっても良い結果を生むとは言えないため、経済の見通しがさらに悪化するなら、株式市場にも与える影響は変化するでしょう。
市場は金曜日に発表される予定の11月米雇用統計の発表に注目が集まっています。
今月はADP雇用統計の予想が下回っており、下揺れのリスク傾向のため、結果次第ではドルの下振れ調整と株式市場の回復が続くと言えるでしょう。
ユーロのインフレ指数は限定的&ドル円3か月ぶりの高値
パウエル議長の発言を前に、ユーロ圏消費者物価指数は予想外の結果を受けた結果、市場ではECBの利上げ予想に調整の動きがありました。
今週前半には12月に3度目の0.75%の利上げが確実視されていましたが、独およびユーロ圏消費者物価指数の結果によって、現在は0.50%の利上げになるとの見方が強まっています。
しかし、ユーロドル相場では消費者物価指数結果への反応は見られていません。
コア物価指数上昇で、ECBにはFRBよりも大幅な利上げの必要性があると市場は見なしたと見受けられます。
市場ではユーロ圏で今後1.4%の利上げが予測されていますが、米国は1.1%に留まっています。
当面の間は、ユーロドルの買い圧力は継続するとの見方が広がっています。
国債価格の下落および国債利回りの安定推移が、他国との金利差縮小の恩恵を受けて上昇した通貨は円でした。
円はFRBのタカ派方針で大幅に下落しましたが、リスクとのバランスで言えば、今後も安定した通貨を維持することになるでしょう。