米雇用統計待ちの中、米ドル安

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ISM指数発表でFRB利下げ鈍化の期待上昇

昨日、米国債利回りは急落しました。

FRBインフラ指標であるコアPCE物価指数は前月比で予想を下回り、ISM非製造業景気指数は50を割りこみ、米経済成長の減速が鮮明化しました。

両指数の影響を受けて、米ドルは下落しています。

今日、米ドルは他の主要通貨に対して5か月ぶりに最安値を更新する形となりました。

FRBパウエル議長が12月の利上げ鈍化が適切であり、過度の引き締めは行いたくないと発言したことで市場は好意的に受け止めているようです。

しかしながら、市場はパウエル議長のインフレ抑制に、まだ長い道のりがあるとの内容を無視しているようで、コロナ渦以来最速で下落しているISMの仕入れ価格指数を材料視しているように見受けられます。

FF金利先物は、パウエル議長による12月のドットプロットでの上方修正を示唆した後も、ターミナルレートを5%未満に織り込んでいる状況です。

米雇用統計に株式市場は期待

昨日の軟化を示す指数発表の後、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁とFRBバー副議長両氏がFRBの金利政策に変更はないとの方針を示しました。

次期FOMC会合のブラックアウト前に、米国債利回りの低下を歓迎しないパウエル議長がその会合のあと、再びタカ派姿勢を示すのではとの憶測が強まっています。

しかし、株価の一時的な回復にもすでに陰りがみえてきています。

S&P500は下降トレンドラインでレジスタンスにあり、米株価は今年クリスマスラリーを享受できるのか疑問の余地が残ります。

Eミニ先物はアジア市場で重荷となり、小幅赤字で取引されている状況です。

本日欧州市場でも上昇銘柄は少数でしたが、円は対ドルで10月以来の10%以上円高を更新して日経225指数は最悪の出来となりました。

市場は、本日13:30(GMT)に発表される米11月雇用統計に注目が集まっています。

米経済は20万近くの雇用追加が予想されており、昨日のISM指数とともに債券価格のさらなる上昇と米ドル下降の可能性があり、株価もこれに同調するとの見方が強まっています。

日銀は円高更新を受け政策の変更か

FRBおよび他の中央銀行が金融の引き締めを緩和するなかで、日銀のみが超緩和的な政策スタンスからの脱却を目指す方針です。

今日、日銀の田村直樹審議委員は、政策枠組みの見直しを行う時期が近いとした上で政策調整の憶測に拍車をかけました。

日銀は以前にも同様の見直しを行った後、大きな政策変更を発表したことがあります。

米金利政策とのギャップが日本に有利に働くので日本円は現在対ドル133円後半辺りで推移し、4%以上の上昇に向かっています。

昨日、ポンドも上昇し、今日も対米ドル$1.2260付近の上昇を維持しています。

また、ニュージーランドの輸入価格の急騰によってNZ中銀のタカ派維持への期待が高まったことで、NZドルも上昇しています。

コモディティでは米国のリセッションへの懸念によって、原油価格の復調を妨げる結果となりました。

ブルームバーグのレポートによると、OPECが11月に日量100万バレルの原油減産公約を果たしたようです。

WTI原油先物は本日1バレル81ドルをやや上回って取引されている状況です。