米雇用統計好調な結果も米ドル下落 投稿者: kaigaifx-trade2022年12月5日2022年12月5日市場ニュース 米雇用統計の結果 先週金曜日の市場は、激しい変動となりました。米雇用統計は好調でしたが、非農業部門雇用者数が予想以上の結果と賃金上昇も、ドル高は継続されませんでした。好調な米経済を示す指標の発表後、米ドルは上昇しましたが、市場は複数の懸念材料を認識して、米ドル高は失速する結果となりました。雇用統計は強い雇用市場を示しましたが、家計調査は失業者数増加を明示しているため、両者には矛盾があり、市場は強い警戒感を持った結果でしょう。この指標による影響は、FRBの方向展開には結びつかない様子で、市場は短期的ながらも価格が乱高下しました。来週に向けたFRBの0.5%利上げは完全に織り込まれた形で、来年初めにも同様の動きが続き、ターミナルレートは5%をやや下回る予想です。本日発表されるISMサービス調査では、市場の期待がどのようになるか手がかりになりそうです。米ドルは後退にもかかわらず、弱気トレンドの反転を判断するのはまだ早いと言えます。FRBの軟化は米ドルの流れを変えるのにはまだ不十分であり、他国による経済の見通し改善の動向が不可欠になります。米国のエネルギー生産に比べて、欧州はエネルギー不足のため、他の主要経済は米経済見通しより悪化している状況です。そのため、米国のリセッションにはまだ数四半期かかる可能性があるので、米ドル高の反転は来年後半以降になるとの見方が広がっています。 米株価復活&OPECは生産水準維持 米株価も同様な動きがあり、いくつかの損失は取り戻されましたが、ほぼ変動なしで終了しました。S&P500は安値から約16%上昇し、米インフレデータの冷え込みからFRBのさらなる慎重な金利対策への期待によって株価は上昇中です。ファンダメンタルズに変化は見られないので、回復継続の判断は今なお難しい状況です。割高なバリュエーションと高金利による経済減速によって経済指標の効果も悪化しています。それゆえ、来年度の収益予測はマイナス修正の傾向にあるといえます。今日、原油価格は上昇しています。OPECによる減産実施にもかかわらず、中国がゼロ・コロナ政策の緩和を発表したため、原油需要に明るい兆しが見られたと推測されています。市場は、EUによるロシア原油の禁止とG7諸国によるロシア原油1バレル60ドルの上限価格設定の影響に注視している様子です。 中国の規制緩和&豪中銀決定に注目 今日の市場は、中国の主要都市でのゼロ・コロナ政策緩和の影響を色濃く反映しました。香港市場は規制の完全撤廃への一歩と見なした様子で、4%以上値上がりしました。中国の情勢は豪ドル等の中国への輸出に大きく関係する国の通貨に大きく影響します。明日は、オーストラリア準備銀行の政策会合が開催されます。市場では0.25%の利上げが予想されていますが、据え置きの可能性は25%です。労働市場と賃金上昇は今もなお堅調ですが、住宅価格は急速に下落してオーストラリア準備銀行は来年の世界経済後退によるコモディティ需要の鈍化を懸念している状況です。このようなリスクとのバランスを取る方法は利上げになるとの憶測が広まるなか、来年の利上げ停止の可能性も示唆されている状況です。