米ISM指標の上昇で米株価下落&米ドル上昇

news-20221206

インフレ加速を米ISM指数が示唆

今週はインフレ懸念が再び金融市場に広がっています。

ISM非製造業指数によって米経済活動が年末に向けて勢いを増すと推測され、来週のFRB金利決定にさらなる圧力がかかっている状況です。

FRBの度重なる大幅利上げが米経済の減速を目的としているものの、11月のISM非製造業指数はさらに上昇しました。

この指数は、サービス業のコスト上昇を警告しているので、賃金上昇の加速とFRBの利上げ幅が減速するとの憶測を否定する形となりました。

FRBは米経済に不要な打撃を与えずに、利上げによってインフレに対処する必要があります。

急激なリセッションを示す指標を懸念して、FBRが利上げ幅縮小に向けていると市場では予測されていましたが、改めてFRBの利上げ幅縮小を否定するものとなりました。

市場は今もなお、来週FRBが0.5%利上げすると織り込んでいますが、ドットプロットではより積極的な利上げの見通しに上方修正しました。

市場は今のところ、金利は来年度5%でピークに達するとの見方が強まっています。

米ドル復活も米株価とゴールドは下落

為替市場では米ドルが徐々に上昇しています。

米経済がエネルギー問題に苦しむユーロ圏経済よりも優位にあると判断したことが理由のようです。

インフレ減速と中国の経済再開への可能性が米ドルの上昇を妨げてはいますが、主要経済国が米国よりも悪い状態にあるため、米ドルの弱気反転はまだ薄いと言えるでしょう。

S&P500は1.8%下落しました。

理由は市場が来週FRBの大幅利上げと米インフレ加速レポートを仮定し、バリュエーション拡大によって株価がさらに下落することが懸念材料となったためです。

コモディティでは、米ドルと米国債利回りの復活がゴールドの復活を阻んでいまが、ゴールドは基本的に米ドルで価格設定されるので、米ドル高でゴールド価格が上昇し、利回りが発生することのないゴールドも低下している状態です。

豪中銀利上げ&円下落

今日、オーストラリア準備銀行は利上げを実施して、追加利上げも示唆しました。

しかし、豪ドルの反応は限定的で、世界の景気後退リスクによって市場は大幅な利上げではなく、来年の0.25%の利上げも織り込んでいます。

最近の世界での国債利回り上昇によって日本国債利回りとの金利差拡大に繋がったことで、円が下落しました。

賃金上昇が著しく低い結果は、日銀の政策変更への期待を後退させましたが、円回復の公算は大きいようです。

実施はまだ先になるようですが、インフレ上昇を背景に日銀は来年の政策調整に向けて動いているそうです。

そのため、世界経済見通しの悪化と世界の中央銀行による利上げ終了によって、金利差が円に有利な展開となる余地がまだ残されていると言えます。

原油価格の下落および日本の海外からの観光客受け入れ再開によって、貿易赤字が改善されれば円安要因も解消される方向に向かうことでしょう。