高まるリスクオフで米株価続落&ゴールドに脚光

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ゴールドに脚光

米国債利回りが下落するなか、市場の来年の課題はインフレ抑制ではなく、経済成長減速もしくはマイナス成長になる模様です。

金融市場もこれに呼応するように安全性を堅めるディフェンスに入りました。

この一連の流れは、債券市場にあります。

米国債利回りの急ピッチな低下と逆イールド拡大により、懸念材料がインフレ加速からリセッションの懸念に置き換わったとみられています。

これは多くの主要経済指標と最新の原油価格が証明している形です。

米国債利回りは金銭の価格なので、急激な利回りの変動が他の資産に直接影響をもたらします。

米利回り低下は金利優位性の低下を促し、米ドル安となります。

しかし、一方でゴールド価格の上昇に向かいます。

さらに、中国人民銀行による準備金引き上げとロシア産原油のゴールド建て決済のなか、ゴールドは上昇に転じている状況です。

来週のインフレ指標発表とFRB金利発表も注目されていますが、来年の市場状況を踏まえると経済成長への懸念と世界中央銀行の引き締め緩和によりゴールドが脚光を浴びるとの予測が広がっています。

原油価格は下落

原油価格の下落は、原油需要の見通し悪化がもたらしていると言えるでしょう。

原油価格は今年の上昇分を失い、また中国コロナ政策緩和とOPEC原油減産措置にもかかわらず、原油価格は下落しています。

株式市場では、米株価の主要指数がやや下落しました。

国債利回りの低下は安全資産への回避を鈍らせ、損失を限定的にしましたが結果、株価上昇につながっています。

理由は将来の利益に基づくバリュエーションが、利回りの低下に伴って割安になるためです。

しかし、株価のリスク報酬はそこまで魅力的とはいえないでしょう。

世界経済の動向を示す指標を基にしたマイナス修正に株価は影響されやすいので、バリュエーションは過去を例にとっても今なお高値です。

S&P500は来年の推定収益のおよそ17倍以上で取引されている状況です。

S&P500の今年一年にわたる下降トレンドラインからの反発は、このリリーフ・ラリーの終わりと告げている可能性もあります。

カナダ中銀0.5%利上げ&中国ゼロコロナ政策緩和

先日のカナダ中銀は市場予想を上回り、0.5%利上げを決定しました。

カナダドルはそれに順ずる格好で上昇しましたが、市場が金利引締め政策最後の利下げと見なされたので、下落しました。

中国政府は、ついにゼロ・コロナ政策を緩和して、多くの公共の場でコロナ陰性の要請撤廃を実施しました。

これに伴い、香港株価は3%以上も上昇して、10月に更新された安値指数から33%の急騰を続伸することとなりました。

今日は重要とされる経済イベントの発表はありません。

来週13日は重要な米消費者物価指数の発表が控えているので、市場はその展望を予測する明日の米11月生産者物価指数発表を注視することになるでしょう。