米失業保険申請件数増加で米ドル下落&米株価好調

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米失業保険申請件数増加でドル下落

米ドルは、先日に引き続き多くの主要通貨に対して続落しました。

米ドル売りは、米失業保険申請件数の増加によるものと見受けられます。

11月失業給与金の新規申請者数はやや増加しましたが、継続的な申請数増加は過去10か月で最高に達しました。

それゆえ、先週発表の好調な雇用統計の結果であったものの、労働市場は今後数か月で減速するとの見方が強まっています。

来週は13日に米消費者物価指数(CPI)の発表と14日には米金利発表が控えています。

今日は、米生産者物価指数(PPI)に市場が注目していますが、来週のFRB金利発表により多くの注目が集まるでしょう。

利上げ減速が大方の見方ですが、来週のCPI指数が続き、インフレ緩和の傾向に向かうことを望んています。

ミシガン大学の今後1年間のインフレ期待減速と呼応する形で、市場は来年末までに0.5%利下げと米ドル安が継続することを予測しています。

来年早々に世界経済のリセッションの懸念が強まり、米ドルが安全資産として上昇する可能性はかなり高いと言えますが、9月の米ドル高ピークから乖離があるほど、上昇トレンドの再開は可能性が低くなるでしょう。

市場は米利上げ鈍化を予想していますが、安全資産としての投資先は利回りの高い米ドルから日本円とゴールドに移行する可能性もまだあるのが現状です。

現在の米ドル復活が下落へ向かう前兆である短期的なリバウンドの可能性があるので、米ドルの見通しは今もなお不透明と言えます。

米株価反発も見通しは不鮮明

米週間失業保険申請件数の増加で、S&P500指数は5日連続の下落にピリオドを打ちました。

今日のPPI指数が減速した場合には、FRB利上げ鈍化に期待が高まって今後数か月および数年の予想キャッシュフローを割り引いて評価される企業の現在価値の上昇に結びつく可能性があります。

経済成長減速を示す指標は株価には明るいニュースとよく言われますが、結果的には経済へのダメージは株価に前向きな材料とはいえないので、不鮮明と言わざるを得ない状況です。

中国のゼロ・コロナ対策緩和が株価上昇につながる可能性はあると言えばありますが、中国経済の本格的な再開にはまだ時間がかかるでしょう。

米株式市場は米経済見通しのみならず、世界経済を視野に入れることも必要となってきています。

そのため、米株価復活はかなり限定的になる可能性が高く、S&P500は記録的なピークだったにもかかわらず、下方トレンドラインを下回って推移しています。

テクニカル分析の観点からも、この兆候は一時的であると判断できるでしょう。

北米パイプライン稼働停止と原油価格下落

原油相場では、米国とカナダ間の原油パイプライン稼働停止は、ほとんど材料視と見なされませんでした。

そのため、市場での最大の懸念は世界経済減速であることが一段と浮き彫りになった格好です。

中国のゼロ・コロナ政策緩和にもかかわらず、市場では今後数か月間での原油需要鈍化の憶測が広がっています。

しかし、2023年末まで原油安が継続するとは言えず、ゼロ・コロナ政策緩和は経済回復に結びつくでしょう。

米利下げ観測による米ドル安は、より一層のゴールド回復に対する追い風になります。

ロシア産原油の上限設定は、今のところ原油価格への影響も不確実です。

ロシアが上限設定を採用する国への供給を制限したなら、原油需要が増加することで原油価格を下支えすることになると見られます。