日銀YCC修正で株価下落&円は高騰

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日銀のイールドカーブ・コントロール修正

日銀は先日からあった政策転換の憶測にピリオドを打ち、長年にも渡る超緩和的な金融政策からの脱却に踏み切りました。

昨年の3月以来となるイールドカーブ・コントロール政策の調整として、10年物利回りの誘導目標をプラスマイナス0.25%から0.5%に拡大することを決めました。

短期政策金利に変更はなく、マイナス0.1%です。

日銀は声明の中で緩和バイアスを維持し、実際に来四半期に7.3兆円から9兆円へ日本円国債の買い入れを増やす予定になりました。

日銀の従来のインフレ対策の方針転換として、今日の決定は金利政策を持続可能にするために必要な第一歩と言えます。

今年一年を通して、日本円はドルに対して終始、円安でした。

理由は世界の中央銀行による金融引き締めが世界中の国債利回りを急上昇させ、発行済みの国債の半数以上を所有する日銀が制限されたからです。

来年春に日銀の黒田総裁は任期満了のため、市場は今後12か月以内により大幅な政策調整に向けてた後継者に道を開いたとの推測が広まっています。

円高が米ドルに圧力

為替市場では、日銀発表後に円が軒並み上昇しました。

市場はこのタイミングでの日銀の政策調整を予測してはおらず、多くは黒田総裁任期終了後の調整が憶測の範疇でした。

米ドルは円に対して133円を下回り、4か月振りの132円8銭の安値を更新しました。

ユーロポンドも円に対して3%以上も下落し、豪ドルとNZドルの損失は3.5%ほどになりました。

豪ドルとNZドルは米ドルに対しても下落し、豪中銀の政策会合の議事録で、12月に一時利上げ停止が検討されたことから、豪ドルは下落しました。

NZドルは12月のNZ企業景況感の急落による圧力を受けて下落した形です。

ユーロポンドは、米ドルに対して上昇しました。

米国債利回りが2日間かけて上昇したものの、FRB発表後の米ドルの反発が鈍化したためです。

先週のPMI指数を受けて、米リセッションの高まりが米ドルの重しとなっていると見受けられます。

株価は低調

今週の月曜日、S&P500は4セッション連続で下落しました。

ディズニー社の新たなアバター続編は予想より興行成績が振るわず、メタ社はユーロ圏からの巨額な独占禁止法の罰金に直面しています。

上記が理由で、両社ともに大きな株価下落につながりました。

ツイッターユーザーがマスク氏のCEO辞任に投票したことから、テスラ社の株価も大幅に下落しました。

今日の米先物は安定しておらず、今週金曜日のPCEインフレ指数の前に市場は様子を窺っているようです。

アジア市場も日本株価の急落の影響を受けました。

長期借入コストが2015年以来の高水準に急騰したことで、日経225指数は2.5%も下落しました。

日銀発表後は日本国債10年利回りが0.47%まで上昇しました。

一方で、中国のコロナ感染者急増による事業の混乱と中国政府の対応への懸念で、中国株価は下落が拡大している状況です。

金は1オンス1,800ドル台

今の市場変動とともに米経済の深刻なリセッションへの懸念もあって、安全資産の代名詞であるゴールドが上昇中です。

ゴールドは今日、1オンス1,800ドルを超えたことで、過去5か月半ぶりの高値に接近中です。

ゴールドの反発は、債券利回りの上昇とともに生じているので、市場が経済見通しに悲観的になっていることを暗に示していると言えるでしょう。