米利上げへの懸念も中国の規制緩和で米株価上昇 投稿者: kaigaifx-trade2022年12月27日2022年12月27日市場ニュース 中国での渡航者の隔離期間撤廃に市場は好感 昨日は中国政府が海外からの渡航者の隔離期間を来年から撤廃することを発表したことで、市場のリスクオンムードが加速しました。中国の多くの地域で新規感染者数が急増する中での隔離期間撤廃は、中国政府によるゼロ・コロナ政策緩和への強い方向転換が示されています。北京や上海等の主要都市における医療逼迫は、再度の規制強化に繋がる可能性が市場で懸念されていますが、最近の中国政府による政策からは、ウィズコロナへの転換が示されており、市場にとってポジティブ要因となる可能性もあります。米国と欧州でのリセッションの現実性とFRBの金融引き締めへの懸念を背景に、過去数週間の中国でのロックダウンは、今後の見通しに影を落としていました。中国の消費活動再開とインフレ上昇によるサプライチェーンの混乱解消には、まだまだ日にちを要するでしょう。最近の中国政府の動向によるゼロ・コロナ政策再開への市場の疑心暗鬼が、リスク資産上昇に結びついた形と言えます。 株価回復も今年の大きな下落の流れは継続 中国の前向きなニュースとして、クリスマスホリデー後の株式市場が待ち望んでいた上昇圧力を引き起こしたことでしょう。今日のアジアと欧州株式市場は大幅に上昇し、米主要株価先物指数も大きく上昇しました。今月は米経済指標による方向性の判断は難しく、米株式市場の投資家にとっては気の緩めない月となっています。先週金曜日の米11月PCEデフレーターは、物価上昇圧力の鈍化を指し示しました。一方で、消費低迷も浮き彫りとなり、米週次新規失業保険申請件数は底堅い労働市場を示しているので、インフレが目標の2%付近に到達するまではFRBが現行の政策を変更する可能性は低いと市場は判断しているように見受けられます。米12月ミシガン大学消費者信頼感指数が示したインフレ鈍化は、米株価回復には結びついたものの、市場ムード改善には至りませんでした。今週も市場の流動性低下が継続するなか、今日の楽観ムードによって株価が一段と回復する可能性があります。しかし、2008年以来の最大下落で今年を締めくくる見通しが市場で強いため、大幅な回復は期待できないとの見方が広まっています。 米ドル&円は下落 リスクオンムードによって米ドルと円が下落した一方で、リスク通貨の豪ドルが大幅に上昇しました。中国の経済活動が再開されるなかで、豪経済の回復が期待されたことで豪ドルは2週間ぶりの高値まで上昇しました。中国からの観光客で日本経済も恩恵を受けると予測されます。しかし、昨日の日銀・黒田総裁による長期金利の許容変動幅拡大は出口の一歩ではないとの発言を受けて、政策転換否定が強まり、円は下落しました。米ドルは円に対して0.2%上昇し、ほかの主要通貨に対しては0.3%上昇しました 需要期待&供給懸念で原油価格は上昇 コモディティ市場では米ドル安によってゴールドが上昇して1800ドル越えに到達しました。原油価格も上昇しており、ロシア政府は他国も西欧諸国の上限設定に追従するなら、2023年に日量50万バレルから70万バレルの減産の可能性を打ち出したため、先週の原油先物価格は上昇した形です。中国の需要増加期待と米寒波による供給懸念も原油価格上昇を勢いづける格好となりました。今日のWTI原油先物指数は80ドル越えに到達し、3週ぶりの高値を更新しました。