米国債利回り上昇&米ドル下落
米国債利回り上昇も、米ドルは主要通貨に対して下落して2022年の取引を終えました。
今日の米ドルは、若干反発しています。
12月中旬以来、回復モードの米10年債利回りは年間上昇率が過去数十年で最高を記録して取引を終えました。
しかし、米ドル回復には繋がりませんでした。
それでも米ドルは年間約8%上昇し、2015年以来最大の上昇率となりました。
物価上昇圧力の鈍化が早期米利下げ観測に結びつき、2022年の第4四半期は米ドルの上値が重くなりました。
その一方、FRBは政策金利のターミナルレートに到達した後も、金利を据え置く方針を明らかにしています。
市場ではターミナルレート予想が上方修正され、先週金曜日には5%付近まで上昇しましたが、年末までの0.50%以上の利下げも織り込まれています。
市場は、底堅い労働市場が短期的な大幅利上げに結びつくと見なしているものの、その他の経済指標を背景に、深刻なリセッションを回避するために今年後半からの利下げ方針への転換を予測しているように見受けられます。
今週発表される米12月ISM製造業PMIと非製造業PMIはともに低下が予測されています。
製造業PMIは50を下回ると推測され、リセッション懸念による利下げ予想を裏付けています。
しかし一方で、労働市場軟化の兆候を鮮明化した先週金曜日の米雇用統計の結果は、ターミナルレート予想の低下になる可能性があります。
米ドルのマイナス要因によって、ユーロドルは主要レベルの1.0800ドル付近まで上昇しました。
1.0800ドルは、過去数年間のサポートラインとレジスタンスラインとして機能しているので、もし割り込んだとしたら、相場転換の可能性が強まると言えるでしょう。
米国債利回り上昇&景気懸念で米株価下落
国債利回り上昇は株安に結びつき、ハイテク銘柄中心のナスダック指数は先週には昨年11月に記録した安値付近まで下落しました。
今日の米市場は祝日により閉場です。
今年前半の利上げ観測が継続してはいるものの、リセッション懸念の上昇は短期的なリスク要因となるとの憶測が強まっています。
中国のゼロ・コロナ政策撤廃の動向は、市場で始めはポジティブな要因として捉えられていましたが、中国国内での新規感染者数の急増によって、楽観ムードは途端に失われました。
中国経済回復までは時間を要するだけでなく、新たな変異株の世界的蔓延の可能性を市場ではリスクと見なしたと言えるでしょう。
中国経済が予想よりも早く回復したとしても、エネルギー需要の回復が原油価格をサポートし、世界的なインフレが復活することで、中央銀行による金融引き締めの懸念も強まるでしょう。
米ドル安の傾向が維持されたとしても、しばらくの間は株式市場で下振れリスクが強まると言えるでしょう。
リセッション懸念によって、通貨市場では安全資産の需要が増加したとしても、米利下げ観測が維持される限りは、円やゴールド等の安全資産に資金が流れる可能性は高まると言えます。
原油価格は上昇で2022年を終了
中国の需要低下と世界的なリセッション懸念によって、昨年後半は原油安の傾向になったものの、原油価格は2022年の終わりには上昇して終了しました。
中国のゼロ・コロナ政策撤廃により、12月の原油価格は回復しました。
ロシアがG7の設定した原油価格上限を支持する国への輸出を禁止したことも、原油高の要因になりました。
しかし、これが原油高への転換と見なすにはまだ早いと言えます。
中国国内での新規感染者数の急増によって経済活動に影響を及ぼし、需要の標準レベルへの回復が遅れる可能性があり、世界的な経済減速も燃料消費の減少に結びつきます。
テクニカル分析上においても原油高の可能性は低く、最近は原油価格回復の傾向でも、WTI原油先物指数は昨年に記録した高値からの下降ラインを下回る一方で、デイリーチャート上においては高値を更新しています。
それゆえ、今のところ原油高への転換の可能性はどちらに転ぶかは不鮮明な状況です。