FRB議事録公表後に米ドル下落
昨日の米ドルは日本円を除く他の主要通貨に対して下落しました。
米ドルに対して最も上昇したのは豪ドルでした。
豪ドルは中国の豪産石炭輸入の再開許可との報道から躍進しました。
今日の米ドルは小幅に反発している状況です。
先日のFRB議事録公開後、米ドルは下落しました。
12月の議事録で今後の利上げ鈍化に合意はしたものの、2023年の利下げスタートが適切であるのかを市場が疑問視している方向に見受けられます。
タカ派姿勢が浮き彫りとなったFRB議事録公開後、ドル買いが若干進みました。
米ドルは関連する利益を取り戻した後に下落しました。
理由は、FRBの消極的な利下げへの姿勢がすでに周知されていたためでしょう。
12月に発表されたドット・プロットと会議直後のパウエル議長の記者会見によってFRBの姿勢は裏付けされています。
しかし、市場は今もなお今年末までの0.5%利下げを織り込んでいる状況です。
市場は速いペースでインフレが収束し、過去の利上げ効果が未だ経済に浸透しきっていないため、FRBは過度の利上げを避けるべきとの確信を抱いているように見受けられます。
先日はISM製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表され、米製造業は縮小圏内に入り、米経済に対する市場の警戒感がさらに強まりました。
明日発表の米雇用統計次第で利下げ観測修正も
FRBは利上げ継続の理由として、切迫した労働市場を挙げているので明日発表の米雇用統計に注目が集まります。
賃金は減速する兆しが見られないため、堅調な雇用統計が期待されます。
米雇用統計の結果によっては、ターミナルレートの上方修正と次回のFRB会合での0.25%利上げが適切との仮説を市場が再評価する可能性もあります。
しかしながら、ISM非製造業(PMI)の発表を明日に控えているので、結果次第では今年後半の利下げを支持することになる可能性もあります。
米ドルは潜在的に堅調な雇用統計にサポートされる可能性がありますが、ISM指数がリセッションを示したら、米ドル上昇は一旦ストップするかもしれません。
一方、米株価はFRBターミナルレートの上方修正と米経済に対する警戒感と相まって、売りに結びつく可能性がある状況です。
ユーロのインフレ率減速もECBはタカ派姿勢固持
ユーロは明日発表のユーロ圏の12月インフレ速報値に注目が集まっています。
先日発表のドイツとフランスの12月のインフレはすでに減速がみられ、このユーロ圏のインフレも明らかに減速が予測されています。
ユーロ圏のコアインフレ率は、前年比で6.6%から6.5%に低下するとの予測が広まっています。
理由は2022年1月以来初めての減少であり、明るい兆しとは相反するものです。
それゆえ、基調的なインフレ率がECB目標の3倍以上の水準に留まったとしたら、ECBは今後2回の利上げを実施するほかに道はないでしょう。
明日のユーロ圏インフレ発表時に、ユーロは多少下落する可能性もありますが、市場はユーロをサポートし続けて損失は限定的になり短命に終わる可能性もあります。
昨日の原油価格は急落しましたが、今日は小幅で回復している状況です。
中国の多くのエリアでのコロナ新規感染者の急増によって、世界的に拡大したとしたら中国の経済再開が頓挫するのではとの懸念が背景にあるのかもしれません。
リセッションの懸念が高まり、軟調な米ドルの動きと最新の米国債利回り下落といった現在の市場の動向は、ゴールドにとっては好都合であり、安全資産として役割に返り咲く機会となったようです。
昨日のゴールドは6か月振りの高値を更新しました。