FRBパウエル議長発言前に株式市場は警戒感

20230110

FRBは米経済リセッションの懸念言及せず

先週末の非農業部門雇用者数発表後のリスク・ラリーは、昨日のFRB高官発言で勢いを失いました。

市場は米経済の減速と価格圧力の緩和でFRBタカ派のインフレ姿勢緩和に結びつくと期待していましたが、FRBはインフレピークを示唆する指標に対してもタカ派姿勢を崩そうとしませんでした。

市場は今もなお、インフレ見通しが明るくなるにつれてFRBが態度を変えのではと期待したようです。

サンフランシスコ連銀デーリー総裁は、先週末の軟調なデータ発表後に金利のターミナルレートが5%を超える必要があると主張しました。

アトランタ連銀ボスティック総裁は、2025年までは利下げの可能性がないと示唆したことで市場に大きな衝撃を与えました。

先週の堅調な雇用統計と軟調なISM指標を受けて、今週木曜日のCPI指数が予想以下なら、FRBは2月の利上げを0.25%に引き下げる可能性があります。

しかしながら、利下げや利上げ停止といった選択肢は今のところないように見受けられ、市場は混乱している状況です。

今日の標準時間午後2時に、パウエル議長はスウェーデン中銀による国際シンポジウムに参加します。

この討論会での発言によっては、市場のセンチメントが一気に変わる可能性もあります。

そして、この討論会に先立ち10時過ぎの討論会においては、イングランド銀行のベイリー総裁や日銀の黒田総裁、そしてカナダ中銀のマックレム議長が参加するので、各々の発言に注目が集まります。

米株価下落もナスダックは上昇

FRBの頑なな態度によって、米経済のハードランディングは回避できないではとの懸念が米株式市場に戻りましたが、米国のリセッションの深刻化を予想する声は少なく、本当の懸念はバリュエーションが今後持ちこたえるかにあるようです。

今週の金曜日から主要銀行は第4四半期を迎え、ダウ・ジョーンズとS&P500はともに昨日の高値から赤字で取引を終えて、米先物は今日やや損失を示しています。

しかしながら、ハイテク株は例外で昨日のラリーを主導し、ナスダックからの圧力を取り除きました。

理由は、先週末に米国債利回りが12月以来急転したことによるものでしょう。

第4四半期の決算は、テクノセクターの高額なバリュエーションに新たな警戒感を引き起こす可能性がありますが、市場は利回りの大幅な低下を踏まえて、シーズン前にポジション調整に移る可能性があります。

欧州株式市場は、年明け早々に上昇した後は売り圧力を受けました。

アジア株式市場はまちまちで、中国再開への楽観ムードがアジアをサポートし、中国政府による市場に有利な規制緩和政策にも後押しされている状況です。

中国再開&米ドル低下でまちまちのコモディティー

コモディティーも同様に、中国再開の楽観ムードにサポートされる可能性があります。

短期的にはFRBの頑なで一貫的な態度が需要の見通しが重くのしかかっているように見受けられます。

今日の原油はまちまちで、銅先物は下落ですがゴールドは8か月ぶりの高値である1オンス1.875ドル付近を更新することになりました。

米国債利回りの低下と米ドルの低迷により、ゴールド価格は好調にスタートして上昇中です。

米ドル軟調推移&ユーロは1.07ドルに復活

昨日の米ドルは他の主要通貨に対して7か月ぶりの安値を更新しましたが、本日は堅調な動きをキープしています。

一方、ECBの積極的な引締め姿勢もユーロ圏のリセッションは予測されたよりも悪化しないとの期待が、ユーロを1.07ドル水準から押し上げる形となりました。

日本円は12月の東京での堅調なCPIデータをもってしても反発をキープしたままでした。

豪ドルは明日のインフレ率発表前に、2日間連続で上昇して0.69ドル辺りを推移しています。