米インフレ減速により米ドル続落

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米インフレデータ発表後に米ドル続落

昨日の米ドルは、主に日本円やユーロといった他の主要通貨に対して下落しました。

昨日発表のCPI指数が、総合で前年比7.1%から6.5%へ減少し、コアで6.0%から5.7%減少となったことで予想通りの低下となりました。

しかしながら、市場がドル売り相場となったことはCPI指数の前月比によるものと見受けられます。

米CPI指数は、停滞との予測に反し、前月比で0.1%減少して米インフレが持続的な下降トレンドにあることを裏付ける形となりました。

データ発表後も、FRBのタカ派発言は続き、市場はFRBが今年中に利下げするとの憶測が広がっています。

FF先物によると、市場は現在90%の確率で次回の会合で0.25%の利上げをサポートすることを織り込んでいる状況です。

最終レートに関しては4.9%付近を予想し、年末までに0.5%の利下げを期待しています。

日本円は国債利回り上限突破で上昇&ユーロも上昇続く

アジア市場では、ドルに対して日本円が最も上昇し、ドル円は昨日と本日で3%以上もの下落を見せました。

日銀のYCC修正観測と米インフレ鈍化によって、FRBが金利引締めサイクルからの離脱のタイミングで、日銀が引き締めサイクルに入るとの憶測が広がっているようです。

日米の利回り格差が縮小していることも明確になってきており、日10年債利回りは約3.55%から3.45%へ低下しました。

また、今日のアジア取引では0.5%の新たな上限も突破したため、この傾向が続けば、ドル円はさらに続落する可能性があると言えます。

その一方、ユーロ圏での根本的な価格圧力の加速により、ECBの今後の積極的な利上げ予測からユーロも上昇しています。

ユーロは米ドルに対して、重要なハードルとなる1.0800を突破しました。

現在のこの強気トレンドは3月末まで続く可能性があり、1.1175まで上昇するかもしれません。

米株価は米CPI指数の結果で上昇

株価も米インフレデータの影響を受けて、欧州と米国の指数は上昇を拡大しました。

その一方で、円高と国債利回りの影響から日経225のみが今日急落しました。

しかしながら、米経済が今もなお低迷し続けているので、米金利低下の見通しは株式市場にとっては必ずしも明るいニュースとはいえないでしょう。

理由は、簡単で脆弱な経済は企業とその収益にプラスに働くことは無いためです。

今日から第4四半期が始まり、S&P500全体の利益予想は2020年以来初めてのマイナスで前年同期比で減少とされています。

堅調な経済指標は、S&P500にリリーフ復活をもたらす可能性もありますが、一般的に弱気の見通しは下落に結びつく可能性が高いです。

S&P500は2020年1月に更新した高値からの下降トレンドラインもしくは4155のキーゾーンで強い抵抗に合うかもしれません。

このゾーンからの下落とそれに続く3900をもし下回るようなことがあれば、一般的な下落トレンドよりも大幅な急落となる可能性があります。

その一方、ゴールドはドル安と米国債利回りの低下で、1880を上回り上昇しました。

リセッション懸念もゴールドには有利に働くので、市場が世界経済への警戒を強めていけば、さらなる上昇につながり、4月中旬ごろまでに2000付近に近づく可能性もあるでしょう。