ECBラガルド総裁によるタカ派姿勢もユーロ下落
昨日はECBとイングランド銀行が予想通り0.5%の利上げを発表しましたが、市場はECBラガルド総裁および英中銀ベイリー総裁の発言を良い兆しとしては捉えなかったようです。
ラガルド総裁は、次回も0.5%利上げを実施して、データに基づいて会合ごとに金利の道筋を査定していくと述べました。
また、供給障害の緩和を認めて、タイムラグの影響で商品価格のインフレを押し上げていると補足しました。
このラガルド総裁によるタカ派姿勢にもかかわらず、ユーロは下落しました。
市場は、ラガルド総裁の発言を引き締めサイクルの終わりの前触れと捉えたようです。
しかしながら、市場は今後ECBによる0.75%以上の仕上げを織り込んでいるので、ユーロ売りは所謂、市場の発表売りへの反応のように見受けられます。
ラガルド総裁は、これまでもタカ派発言を繰り返して来たので、昨日も市場には驚きの様子がなかったようです。
また、FRB政策発表の影響もあって、ユーロドルの投資家は多少の利益確定に動いた可能性があるといえるでしょう。
英中銀ベイリー総裁によるインフレのターニングポイント言及でポンド下落
一方で、イングランド銀行のベイリー総裁はインフレとの闘いはターニングポイントに来ているとトーンを変えてきました。
今までは、必要に応じて断固として対応するとの旨を述べており、今回は持続的な価格圧力の証拠があるなら、さらなる引き締めが必要になると述べました。
英経済は主要経済の中で最悪なリセッションが予想されており、市場はさらに0.25%の利上げを織り込んでいます。
それゆえ、ポンドの下落は当分は続くとみられます。
ECBが今もな、英中銀とFRBよりも引き締めに積極的なので、ポンドドルに代わって、ユーロポンドがポンドの脆弱さを反映するのに最適なペアになると見受けられます。
1月米雇用統計は今夜発表
今日は1月の米雇用統計の発表に注目が集まります。
非農業部門雇用者数は、12月の22万3千件から18万5千件に減少すると予測されていますが、失業率は50年ぶりの低水準となる3.5%から3.6%に上昇すると見られています。
この数値は、労働市場が今もなおタイトであることを示していますが、平均時給が鈍化するならば、市場はFRBの年内の方向転換に期待して、米ドルは新たなショートポジションに入る可能性があるでしょう。
FRBパウエル議長は、水曜日の会見でディスインフレのプロセスの始まりを認識して、タカ派トーンを控えたようです。
年内の利下げは適切でないことにも触れましたが、インフレが急速に低下するなら、政策に組み込まれるとも補足しました。
この発言は、今後の会合で年内の利下げを認めざるを得なくなるのではとの市場の期待を高める形となりました。
今日のユーロは米ドルに対して重要なサポートゾーンとなる1.0800を超えて取引されおり、今日予定の米雇用統計の結果次第では1.1175付近まで上昇する可能性があります。
このゾーンは、2021年11月から2022年2月の間はサポートとして機能しており、また今年3月末までのレジスタンスとして機能していました。
FRB方向転換への期待から、割り引きされた予想キャッシュフローに基づき評価される高成長企業の現在価値が上昇するので、米株式市場は恩恵を受けることは間違いないでしょう。
しかしながら、ハイテク大手のアルファベット社・アップル社。アマゾン社の期待外れの決算報告によって、今日の雇用統計発表を前に、低調なオープニングとなる可能性もあります。
S&P500は4155のエリアを超えて今週取引を終えたとしたら、先行きは明るいと言えるでしょう。
しかし、水曜日のナスダックで生じたダブルボトムは、リセッションのリスクにもかかわらず、市場はリスク資産への投資を未だ諦めていないことを暗に意味しています。
これはFRBの最終的な方向展開が米経済のソフトランディングを引き起こすとの期待が高まっていることが背景にあるかもしれません。