FRB議長発言でドル高一服&米株価は上昇 投稿者: kaigaifx-trade2023年2月8日2023年2月8日市場ニュース FRBパウエル議長発言を受け米ドル後退 昨日の米ドルは他の主要外貨に対して下落しました。先週末の予想以上に堅調な米雇用統計後の利益の一部を返還した形となり、今日も引き続き米ドルは下落の傾向にあります。ドル安の理由は、昨日のFRBパウエル議長の発言が要因です。パウエル議長はワシントンの経済クラブの講演にて、さらなる利上げの必要性と年内の利下げはないとの見解を繰り返し述べました。また、ディスインフレが現在進行中で今年中にインフレが大幅に低下する見込みとも述べました。先週末の予想を大幅に上回る非農業部門雇用者数の発表で、市場は最終レートを5%以上に上方修正して年末までの利下げを約0.25%に下方修正しました。昨日のパウエル議長の発言を受け、市場は最終レートを5.15%あたりとして年末までの利下げを0.35%に織り込んでいます。このパウエル議長の発言前に、アトランタ連銀ボスティック総裁とミネアポリス連銀カシュカリ総裁が、さらなる利上げの必要性を強調したので、市場はパウエル議長がタカ派発言をすると予測していましたが、議長の発言が期待場外れの結果となり、市場のドル売りに結び付いた形です。今日はニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁とFRBウォーラー理事の講演が続きます。さらに多くのFRBメンバーが利上げの必要性を強調したとしたら、米ドルの復活となる可能性がありますが、来週の米CPI指数は減速が予想され、長期的な米ドルの復活には未だ早い段階と言えるでしょう。 ユーロ圏のインフレ期待上昇でECB利上げ後押し 昨日発表されたECBの調査によると、ユーロ圏のインフレ期待が12月に再び上昇しました。そのため、インフレ抑制のためのECBの積極的な利上げに信ぴょう性が加えられる形となりました。確かにユーロ圏の総合インフレ率はピークに到達したように見受けられますが、根底にある物価圧力は今もなお加速しています。これによって、ECBは今後2回の利上げを実施せざるを得ないでしょう。短期金融市場によると、ECBはさらに1%ほどの利上げを実施した後に、利上げを停止すると予測されています。ユーロドルはドル指数の中で57.6%を占める最大の構成要素となっているので、ユーロ高がドルの上昇を限定的にする起因となるでしょう。また、米ドルの強気への転換が時期尚早であることを裏付けています。来週の米CPI指数が予想通り減速したとしたら、ユーロは米ドルに対して反発して1.1175圏内まで上昇する可能性があります。 米株式市場はパウエル議長の発言歓迎 米株式市場は、昨日のパウエル議長の発言を受け、3つの主要指数全てにおいて上昇する形となりました。とくに金利に鋭敏なナスダックは2%近く上昇しました。堅調なデータ発表後にドル売りがドル買いと比べて強くなかった理由は、株式市場がリスク資産に投資する準備がまだ整っていないことを示しています。先週の堅調な米雇用統計に続き、米ISM製造業PMI数値が景気拡大を示唆したので、ソフトランディングへの期待が高まりました。昨日のパウエル議長の発言も期待される今年後半の利下げに向け、企業の現在価値が高まることでバリュエーションに役立つ格好となったように見受けられます。