今日発表の米失業保険申請件数に期待

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FRBメンバー発言続くも最終レート予測変化なし

今週火曜日のFRBパウエル議長の発言を受け、米ドルは下落しました。

しかし、昨日は他の主要外貨に対して安定しました。

FRBメンバーが利上げの必要性を強調しているので、米ドルは一時的にもサポートを維持しているように見受けられます。

ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁は、需要と供給の不均衡を抑制するために最終レートは5%から5.25%辺りが合理的だとの見解を示しました。

また、金利政策がむこう数年間は制限的な水準に留まることが必要であるとも付け加えました。

その一方で、FRBウォーラー理事も賃金の伸びの鈍化はまだ十分でないとして、引き締めの姿勢を維持する必要があると述べました。

最も強くタカ派姿勢を見せたのはミネアポリス連銀カシュカリ総裁で、データが示唆するのであれば、FF金利は5.4%かそれ以上に引き上げる必要があると述べました。

上記のような発言で、米ドルの下落は一段落しましたが、FRBクック理事は先月の堅調な雇用統計と賃金の伸びにより、ソフトランディングへの期待が高ったと発言しました。

そして、失業率を大幅に増加させずにインフレ率を2%に戻すことができると述べました。

この発言は多くのFRBメンバーの見方と相反するもので、制限的な政策なしにインフレに対処できると示唆したとも受け取らています。

現在、市場はその最終レートをFRBの予測に沿って5.13%と織り込んでいますが、同時に年末までの約0.35%の利下げも予測している状況です。

今日の米失業保険申請件数&来週の米CPI指数発表に注目

今日は米失業保険申請件数が発表される予定であり、労働市場の堅調さを確認するうえでも、この指標に注目が集まっています。

失業件数が大幅に予想を下回ったなら、FRBの利上げ継続が予想されるので米ドルの復活にも大きく影響するでしょう。

しかし、たとえ失業件数が下回って、米ドル買いが進んだとしても米ドルの長期的回復にはまだ時間がかかると言えるでしょう。

来週には米CPI指数の発表が予定されており、この数値が予想以上に大幅に減速したとしたら、米ドルの下降トレンドを引き起こす可能性があります。

先日、ドイツ中銀ナーゲル総裁とECBのシュナーベル理事が、タカ派姿勢でECBによるさらなる積極的な行動の必要性を述べたので、ユーロは米ドルに対して1.0800以上まで上昇するとの予測が広がっています。

アルファベット社株価下落が米株式市場に影響

米株式市場は、米ドルがさほど上昇していないにもかかわらず、昨日3つの主要指数全てで下落しました。

理由は、一部のFRBメンバーのタカ派発言だけが投資家のリスク回避の理由ではないためです。

実際にS&P500とナスダックは、グーグルの親会社アルファベット社の株価下落に影響を大きく受けました。

グーグルの新たなAIチャットボットであるバードが、プロモーション用のビデオにおいて、間違った回答をしたことが影響して株価が7.7%も下落しました。

この件で、グーグルはライバルであるマイクロソフトに大きく差がついたとの懸念が高まっています。

しかしながら、米経済のソフトランディングへの期待が高まるなか、市場はFRBの政策転換を予想しているので、株式市場はまだ上昇する可能性があります。

S&P500はレジスタンスゾーンである4.155付近まで上昇して、8月16日の高値である4.325まで近づく可能性があります。