米ドル続伸&英インフレ率減速でポンド急落

news-20230216

米小売売上高2年ぶりの大幅増&米ドル続伸

昨日の米ドルは全ての他の主要通貨対して上昇しましたが、今日は若干下落しています。

昨日の1月米小売売上高が大幅増となったことを受けて、米ドル上昇に拍車をかけました。

2か月連続で縮小した米小売売上高は、総合とコアともに大幅に回復しました。

とくに総合での売り高は過去2年で最も加速したことで、最近の堅調な経済指標との相乗効果で、米経済のソフトランディングへの期待が高まっている状況です。

それゆえ、この指標は市場のFRBの利上げ観測を裏付ける形となりました。

米経済がリセッションを回避したことが示唆されたので、米ドル上昇はしばらく継続する可能性があります。

しかしながら、来月21、22日に開催される米政策会合を控えて、雇用統計やインフレデータなどの発表が続くので、長期的な回復を求めるのはまだ時期が早いと言えるでしょう。

今日は米生産者物価指数が発表されるので、この数値が減速を示したとしたら、市場は米経済を見直し、既存のロングポジションに利益を固定する可能性があると言えるでしょう。

英インフレ率が予想以上の減速でポンド下落

一方、英国ではCPI指数が予想以上に減速したため、昨日のポンドは米ドルに対して、最も下落しました。

総合指数は前年比で10.5%から10.1%、コア指数は6.3%から5.8%に低下しました。

総合指数は今もなお2桁台ですが、コア指数の低下はイングランド銀行の引き締め策終焉への期待を高める数値となりました。

前回の会合でイングランド銀行は、そのガイダンスを必要に応じて積極的に対応するので、より持続的な物価圧力の証拠がある場合は引き締めが必要になる、と修正しました。

ベイリー総裁は、この修正はインフレとの戦いのターニングポイントを反映していると発言しました。

英経済の急激なリセッションのリスクは確かに低下していますが、今もなお生活費への圧迫が深刻な状況なので、そのリスクが消失するにはまだまだ程遠いと言えます。

それゆえ、イングランド銀行は今後の行動において迅速にすべきか、慎重にすべきか、難しい判断を迫られることになるでしょう。

市場は今のところ、次回会合での0.25%の利上げを65%が支持している状況ですが、35%は行動しないと予測しています。

その後の会合では、イングランド銀行が利上げ停止とする前に、あらためて再度0.25%の利上げを行う可能性があると予測している模様です。

FRBとECBの利上げ観測が高まるなか、イングランド銀行は最も軟化姿勢であると見なされ、ポンドは米ドルとユーロに対して、売りに脆弱になるとの見方が広がっている状況です。

米小売売上高の大幅増で株価上昇&ゴールド下落

米株式市場では、小売売上高の力強い回復に恩恵を受けて、特にハイテク株の多いナスダックが最も上昇しました。

FRBのさらなる利上げと年内の利下げへの期待が高まるなか、米国債利回りが上昇したものの、米経済の景気回復が示される限り、市場のリスク選好は高まるように見受けられます。

株式指数の見通しは中立を維持している状況ですが、市場の最終レートは5%以上と予想されており、収益予想が未だ引き下げられているので、株式指数が過去最高値に向かうことは可能性として低いでしょう。

逆に、中国の経済再開を巡る楽観姿勢と、予想以上に堅調な主要国の経済指標が株式市場を後押ししているように見受けられます。

利回りの上昇とドル高、そしてリスク選好の高まりは、ゴールドにはプラス材料ではないようです。

昨日もゴールドは続落して、まもなく1.825ドルのサポートゾーンまで向かう可能性があります。

このまま、昨年12月中旬に更新した1.775ドルの領域まで下落する可能性は十分にあるでしょう。