米PPI指数上昇&FRBメンバー発言で米ドル上昇

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米PPI指数加速&米失業保険申請件数減速で高まるFRB利上げ観測

今日も米ドルは他の主要通貨に対して、上昇をキープしています。

昨日の好調な1月米PPI数値とFRBメンバーのタカ派発言を受け、市場は米ドルのロングポジションを維持しているように見受けられます。

米PPI指数は総合、コアともに予想を下回る結果となりましたが、注目すべきポイントは前月比がマイナス0.2%から0.7%へ大きく回復して予想の0.4%の2倍以上となった点です。

また、12月の前月比もマイナス0.5%からマイナス0.2%に上昇修正されました。

生産者物価の加速は、今後数か月における消費者物価の上昇にもつながります。

先週の新規失業保険申請件数の減少とともに、FRBの利上げ観測は高まったことで年内の利下げは必要ないとの見方を裏付ける形となりました。

FRBメンバーが利上げの必要性を主張

昨日のクリーブランド連銀メスター総裁が高いインフレに懸念を示したことで、前回での会合にて金利をもっと上げるべきだったと発言しました。

セントルイス連銀ブラード総裁もFRBは、さらなる積極的な利上げを推し進めるべきだったと述べました。

両氏ともに今年はFRB会合にて投票権はありません。

すでに市場は次の会合において、0.5%の利上げ確率を約10%に引き上げましたが、90%は0.25%の利上げを支持している状況です。

また、ブラード総裁は最終金利は5.25%から5.50%の範囲として、自身の12月のドットが中央値以上であったことを示しました。

FRBメンバーのタカ派発言がこのまま続くとしたら、市場は金利の予測中央値を3月に上方修正する可能性もあります。

市場は、今日のリッチモンド連銀バーキン総裁とFRBボウマン理事の発言にも注目することでしょう。

今のところ、市場は最終レートを5.3%と予想しています。

このようなFRBメンバーの発言が続いたら、米ドル買いへの関心は維持されると言えるでしょう。

しかしながら、3月の米政策会合を控え、市場は今月の米雇用統計とインフレデータを熟考する必要があり、本格的な米ドルの強気トレンドへの復活を想定するにはまだ早いと言えるでしょう。

FRB利上げ観測によって米株価下落

一方で米株式市場は先日、主要指数全てにおいて下落する形となりました。

とくに金利に鋭敏なナスダックは約2%も下落しました。

経済の発展を示唆する指標によって、ソフトランディングへの期待は高まっていますが、米インフレ率の加速は未だ市場のリスク選好を低下させている模様です。

中国の経済再開からの楽観ムードとユーロ圏の主要経済におけるリセッション回避にもかかわらず、株式市場は過去最高値を更新することは難しいのが現状のようです。

これは金利上昇が借入コストの高騰を意味し、同時にキャッシュフローが割り引かれることによって、企業の現在価値も低下するためです。

S&P500においては重要なレジスタンスゾーンである4,155に近づき、さらに下落する可能性もあります。

しかしながら、今後の経済指標が予想以上に好調であったなら、そこから復活する可能性もあるでしょう。

米株式市場の全体像は今もなお中立のままであり、S&P500が3,900を下回ったとしたら、その見通しは明るくないと言えるでしょう。

ただ、2月の米PMI速報値が期待外れの結果となった場合には、下落傾向は続くことでしょう。