FRB会議議事録公開で利上げ観測高まり&米ドル上昇
昨日の米ドルは、ほぼ全ての他の主要通貨に対して上昇しましたが、今日は若干の下落傾向です。
先のFRB会合の議事録が公表されて、米国の金利の見通しについて市場は現状の予測が正しいことを確信したようです。
議事録では、ほぼ全てのメンバーが0.25%の利上げ減速に賛成しましたが、インフレがどのように機能するかが今後の政策決定のカギになることが鮮明化ました。
また、議事録は少数のメンバーが0.5%の大幅利上げを支持した可能性も浮き彫りにする形となりました。
既に大幅な利上げへの支持を公表しているメンバーもいるので、市場には別段驚きはなかった模様です。
しかしながら、FRBが必要に応じて調整する用意ができているという事実は、市場の予測に信憑性を与えました。
この会合が、一連の好調な米経済データおよび1月の米インフレの発表前であったことを踏まえると、現在より多くのメンバーが大幅利上げに賛成している可能性があります。
現段階では、3月の会合で0.25%の利上げを進めたとしても、今年のドット中央値を上昇修正する可能性は十分にあります。
とはいえ、3月の会合に先立って市場は2月の米雇用統計とインフレレポートの結果を吟味する必要があるでしょう。
他の中銀の利上げ観測にともなって、米ドルの強気トレンドへの反転はまだ早すぎる段階だと言えます。
今日は、第4四半期米GDPの発表が注目されています。
日本円は参議院での日銀新総裁候補の植田氏による所信調書に注目
昨日の日本円は米ドルに対して横ばいで推移しました。
今日も円ドルは動きがあまりないようで、市場は日本CPI指数発表前に大きなポジションに関与することを避けて様子見の状態が続いています。
しかし、最も重要なイベントは、日銀次期総裁候補である植田氏の参議院での所信調書と質疑となる見方が強いでしょう。
植田氏は現在の日銀の金融政策について適切であると発言しましたが、今回の所信調書は政府からの正式な起用を受けて以来、初めての発言なので市場は新総裁による金融政策の方向性を期待しています。
植田氏は昨年7月の新聞のコラムで、時期尚早な利上げに反対の旨を示しましたが、インフレが強まる中でのイールドカーブ・コントロールの維持の難しさも強調したうえで、金融政策の欠点を指摘しました。
そのため、植田氏は就任早々に日銀によるマイナス金利からの脱却に早急に対処することなくイールドカーブ・コントロール政策を完全に廃止することもじさないと示したとも言えます。
したがって、植田氏就任後に金融政策の正常化に向けて何らかの行動を示唆する発言は、とくに日本のインフレが予想通り加速し続けるとしたら、円高につながる可能性が高いと言えるでしょう。
一方で植田氏の発言がハト派と解釈されるなら、円安となって今週火曜日に更新した135.22円の高値を上回る流れとなる可能性があります。
S&P500とダウ・ジョーンズは続落&ナスダックは反発
米経済は堅調な経済データが示している通り、予想以上に明るい見通しのため、FRBによる積極的な利上げ観測が広がり、S&P500とダウ・ジョーンズは続落している状況です。
しかしながら、金利に敏感なナスダックは、予想に反して反発し、その後は上昇して取引を終えました。
理由は、今週の火曜日に今年最安値を更新したので株式購入の意図のある投資家に、さらに良いリスク対報酬の比率を与えたためと見受けられます。
米金利の最終レートが5.36%と予測されて、年内の利下げは織り込まれていないので、株価が上昇トレンドなり、過去最高値に向かうとは考えにくいと言えます。
金利の上昇はバリュエーションの低下を意味しており、収益の下方修正と相まって、株式市場はしばらく圧力にさらされる可能性があります。
また、原油価格もFRBや他の主要中銀による積極的な利上げ観測から圧力を受けたことで、金利上昇が経済成長を阻む可能性から、燃料需要を圧迫する可能性もあります。
昨日のWTI原油は約3%下落しましたが、未だ72.20から82.50の間でレンジ取引されています。
この範囲の下限を下回る動きになったとしたら、原油価格の見通しはより一層暗くなると言えます。