次期日銀 植田新総裁の慎重姿勢から円安に

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次期日銀新総裁の慎重姿勢で円安

今日は最新の国内インフレレポートと次期日銀新総裁の植田氏の発言を受け、円安となりました。

国内のインフレは1月にさらなる上昇を見せましたが、植田氏が差し迫った政策の見通しに対して慎重な姿勢を見せたため、日本円に良い影響を与えることができませんでした。

昨日の国会における所信調書で植田氏はインフレがピークに達し始めたと発言しました。

しかしながら、家計救済のための政府のエネルギー補助金の支給が始まるので、来月のインフレ率は軟化すると警告しました。

全体としては、インフレ加速が改善する場合に備えて政策正常化への道は開けておくとしても、供給主導のインフレに日銀は過剰反応すべきではないとの見解でした。

米・欧州の利上げ観測によって、今月日本円はすでに圧力を受けており、この植田氏の慎重姿勢により、さらなる打撃を受ける形となりました。

しかし、国内の賃金が上昇し始めたことで、来月に日銀は政策の正常化への次のステップを踏み出して、円への売り圧力の一部を緩和するのではないかとの見方が広まっています。

米ドル上昇&ゴールド下落

好調な米経済データの発表が続いたことで、インフレ抑制のためにFRBによる利上げ継続の必要性が確実視されました。

それにより、今週の米ドルは高値で取引を終える形となるでしょう。

市場価格は、今年の夏頃に最終レート5.35%に達したことで、大幅な利下げは来年に持ち越されると予測されています。

この利上げ継続観測から、米国債利回りは大幅に上昇したので米ドルを押し上げました。

1年物米国債は今のところ、リスクなしのリターンで5%以上の利益をもたらして、多くの投資家に魅力的な資産となったことで、米国に資金が流動している状況です。

その一方で、利回りの上昇とドル高はゴールドにとっては良いニュースとはいえません。

ゴールドは保有に利子が発生せず、通常はドルで価格設定されるので債券利回りの上昇によって米ドルが上昇するにつれてゴールドの魅力は低下します。

それゆえ、現在ゴールドは今年の利益の全てを帳消しにして下落しています。

エヌビディアの株価高騰で米株式市場は安定

米半導体メーカーであるエヌビディアの収益報告後に株価が14%以上も上昇したので、米株式市場は損失を補填し、昨日上昇して取引を終えました。

しかし、今週は損失で取引を終える模様です。

現在の株式市場には、好調な経済成長への楽観ムードに対して、さらなる利上げとインフレ加速への懸念といった相反するセンチメントがある状況です。

この相反反するダイナミックスによって、経済の強さを材料視する投資家と最終的に打撃となる高金利の期間継続に警戒する投資家が混在している状況です。

理由は、株価のバリュエーションが既に割り引きされていることが要因の一つと言えるでしょう。

S&P500は収益の18倍で取引されており、収益が縮小して利回りが上昇しているなか、米株価のリスクと報酬はあまり魅力的には映らないと言えるでしょう。