予想以上の米PCE指数上昇によりFRB利上げ継続観測高まる

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米PCE指数の予想以上の上昇でディスインフレ疑問視

先週の金曜日は米個人消費支出物価指数(PCE指数)が発表され、先のCPI指数に続き予測を上回ったので、米インフレの一連の下振れ予想は少なくとも今のところは現実的とは言えないようです。

FRBのインフレトラッカーであるコアPCE指数は、1月に前月の上方修正値である4.6%を上回り、4.7%まで上昇しました。

さらに懸念材料となるのは、前月比のPCE指数が0.6%上昇したことです。

また、1月米個人消費も1.8%増と予想の1.3%増を上回り、個人所得は予想を下回ったものの、前月比0.6%増と堅調に推移しました。

これらのデータは、FRBによる次回会合の0.25%利上げ予想だけでなく、米経済においてディスインフレが進行しているとの主張にも疑問を投げかける形となりました。

FRBパウエル議長は、先の政策会合後の会見において、さらなる利上げの必要性を強調したので、市場がすぐに反応して、ラリーを引き起こす結果となりました。

しかしながら、今回のインフレ上昇が単なる一時的なものにすぎないと証明できない場合は、この発言の信頼性も危うくなる可能性があります。

しかし、FRBは引き締めを強化するようには今のところ見えません。

先週金曜日のPCE指数発表後も、クリーブランド連銀メスター総裁を含むFRBメンバーは、次回の会合での0.5%の利上げを要求するには至らなかったからです。

米株式市場は利回り高騰で打撃&売りは緩和へ

現在、市場は最終レートについて以前の予測よりもさらに高くピークに達する可能性も織り込んでいる模様です。

今年7月のFF先物は、夏までの市場による0.25%利上げ観測によって今日最終レートを5.41%の最高値に改正しました。

利下げ観測も完全に設定外ではありませんでしたが、急速に低下している状況です。

世界的に債券市場も圧力を受けたことで、利回りは上昇しています。

昨年11月の急上昇を除いた2年米国債利回りは、2007年以来初めて4.8%を超えたことは注目すべきでしょう。

先週のS&P500は2.7%下落して、ナスダック総合指数も3%以上下落と、株式市場は大きな打撃を受けました。

しかしながら、今日は米先物と欧州指数の両方において、株式の売りは緩和されており、プラス領域で取引されています。

今日は米耐久財受注の発表が注目されるでしょう。

この株式市場のセンチメント上昇には、ECBや日銀トップの発言が影響している可能性があります。

ECBラガルド総裁はエコノミック・タイムズのインタビューにて、3月に予想されている0.5%利上げ実施後に小幅な利上げの可能性を示唆しました。

一方で、日銀新総裁となる植田氏は今日の参議院での所信聴取において、インフレ率が引き続き目標である2%以上で推移したとしても、日銀の金融緩和政策を完全に廃止する必要はないかもしれないと述べました。

英EU離脱後に新たな協定締結の可能性

イギリスとEUが北アイルランド議定書の改訂に関して、待望の合意に達するとの憶測も市場の楽観ムードに大きく貢献していると言えます。

この議定書はイギリスのEU離脱以来、イギリスとEUの間での争点となっており、北アイルランド内でも、共和党とユニオン党との間でも論争の要因となっています。

この協定によってイギリスは、北アイルランドの間の物流の流れに対するハードルを取り除き、EUとさらに強力な関係回復へと向かう可能性があります。

今日のポンドは米ドルに対して0.25%と最も上昇しました。

ユーロは横ばいの状況で、ドル指数は若干の赤字です。

その一方、安全資産としての円は他の主要通貨に対して、まちまちであったものの、米ドルは円に対しても下落する格好となりました。

原油上昇もゴールド下落

コモディティでは、原油価格は3日連続で上昇しましたが、ゴールドは1オンス1,180ドル辺りで苦しい展開です。

ゴールドは債券利回りの上昇とFRB利上げ観測から圧力を受けて、今月初めから下落している状況です。

今日のセッションでは早い段階で、2か月ぶりの安値を更新しました。

米経済指標が米経済の悪化を示してFRB利上げ観測が低下しない限りは、ゴールドが大きく上昇する可能性は低いと言えるでしょう。