堅調な中国PMI指数で米ドル下落&ユーロ圏CPI指数に注目

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軟調な米ISM製造業PMI指数により米ドル回復

昨日米ドルはNZドルとユーロそして豪ドルに対して下落しましたが、今日の米ドルは他の主要通貨に対して、回復傾向にあります。

コモディティに連動する通貨に対して下落した要因は、中国の予想を上回るPMI数値の発表によるものと見受けられます。

ユーロに対してはドイツのインフレが予想以上に加速したことで、米ドルに圧力を加えたと言えるでしょう。

そして、昨日発表の米ISM製造業PMI指数は47.4から47.7と予想を下回ったことで、4か月連続で縮小圏にとどまりました。

これは米経済のソフトランディングへの期待に重くのしかかり、米ドルが変動したためです。

逆に、投入価格指数が44.5から51.3に急騰したことを受けて、米国債利回りは上昇して、1月のCPI指数の上昇とともに市場は米インフレが予想よりも長期化するとの見方が強まった模様です。

昨日のFRBメンバーによるタカ派発言もFRB利上げ継続観測の後押しとなったように見受けられます。

昨日のミネアポリス連銀カシュカリ総裁は、今月のFRB政策会合にて0.25%か0.5%の利上げに対して、オープンマインドであると述べ、利上げの見通しを引き上げる必要性について言及しました。

また、アトランタ連銀ボスティック総裁も最終レートは5.00%から5.25%で十分であるとの見解を示唆して、来年まで最終レートを維持することが必要であると主張しました。

これらの発言を踏まえて、市場は最終レートを9月までにほぼ5.5%に引き上げ、年末までに5.4%辺りに修正しました。

そのため、市場は次回のFRB会合にてドットプロット、とりわけ今年の予想中央値の修正を見込んでいることになります。

しかし、最近の米ドルの動向は、この市場の利上げ観測を反映しているとは言いがたく、おそらくECBなど他の中銀も大幅に利上げすると予測されているからでしょう。

さらに、次のFRB会合を控えて市場は2月の米雇用統計とCPIレポートを吟味する必要があり、米ドルの長期的な回復にはまだ早い段階と言えるでしょう。

今日発表のユーロ圏CPI指数に注目

今日はユーロ圏の2月のインフレ指数発表が予定されており、注目が集まります。

総合率では、前年比で8.6%から8.2%へ鈍化、コア指数では前年比7.1%から6.9%への鈍化が予想されていますが、スペインとフランスおよびドイツでのインフレ指数が予想を上回って加速したので、ユーロ圏のインフレ指数も上振れとなるリスクがあると言えます。

ほとんどのECBメンバーは、インフレ抑制のための積極的な利上げを主張するタカ派姿勢を示しているので、とくに根底にある価格圧力によるインフレの粘着性に懸念を示しています。

市場は今のところ、次回のECB会合において30%が0.75%利上げを70%が0.5%の利上げを支持しています。

また、年内まで利上げについて、合計約1.0%から約1.6%の利上げに上方修正しました。

それゆえ、今日のインフレ率が予想以上の加速を示したとしたら、ECBによる今後3回にわたっての利上げ観測が高まって、ユーロは上昇に向かうでしょう。

しかし、米ドルもFRB利上げ継続観測から上昇する可能性があるため、ユーロドルに関しては、複雑な状況と言えます。

その一方で、カナダ中銀による時期の会合での利上げ停止が確実視されているので、ユーロとドルは、特にカナダドルに対して上昇する可能性が高いと言えるでしょう。

S&P500&ナスダックは再び下落

軟調な結果となった米ISM指数とFRB利上げ継続観測により、米株式市場は下落しました。

ダウ・ジョーンズは、ほぼ横ばいで取引を終えましたが、S&P500とナスダックはともに下落して、金利に鋭敏なナスダックは最も下落する形となりました。

そのため、リスクオンとなって株価が上昇した場合でも、過去最高水準まで上昇することは無いと言えるでしょう。

金利の上昇は借入コストの上昇と企業バリュエーションの低下を意味するので、株価に圧力がかかることになります。

テクニカル面においては、ナスダックは以前のダブルボトムをネックラインとした12,050領域を下回っているので、今後の復活の可能性は大幅に減少しています。