米非製造業指数発表前に米ドル下落&株価反発

news-20230303

世界的な国債利回り上昇が一段落

今週は継続的なインフレ圧力を示唆する経済データによって、欧米の国債利回りは上昇し続けました。

とくに昨日はベンチマークとなる米10年債利回りが、昨年11月以来初めて4%以上を更新したことで30年債利回りも同じ動きとなりました。

しかしながら、今日は米10年債および30年債ともに若干高値から下落して、ユーロ圏の利回りもやや低下した模様です。

2月初めからの世界的な国債利回りの上昇は、世界の中銀による利上げ継続観測が高まっているためと見られます。

とくに今週の利回り上昇の背景には、先週の米インフレ率上昇と今週の米ISM製造業PMI指数の上昇が要因となっているように見受けられます。

今日は米ISM非製造業PMI指数の発表を控えており、警戒感が強まっています。

FRBは製造業価格の連続上昇がディスインフレの始まりとの主張に反するものの、現段階では様子見をしている模様です。

しかし、サービス業のインフレは深刻化しているので、非製造業PMI指数が上昇となったとしたら、最終レートのさらなる引き上げに混乱を引き起こすかもしれません。

最終レート予想値の上昇修正をFRBが示唆

現在のところ、FRBとしては必要に応じて利上げ予測を上方修正する選択肢も用意しているようです。

しかし同時に、既存の引き締めがインフレおよび経済成長に及ぼす影響を確認するために、今年の夏頃までは様子を見たいと考えているようです。

昨日のFRBのウォーラー理事は、労働市場を極度の逼迫と表現したうえで、今後も堅調な米経済指標が続くとしたら、市場予想である5.4%以上の利上げの必要性を主張し、タカ派姿勢を示している状況です。

ウォーラー理事の発言は、先日発表された堅調な米失業保険申請件数にも裏付けされた格好となりました。

インフレ進行懸念も米株価上昇

米株式市場は、FRBが今後2回から3回にわたる0.25%の利上げ後に、利上げ停止となるとの予想を材料視した模様です。

昨日は米株式市場は予想外の反発を見せたことで、S&P500は0.76%上昇しました。

米株式は極端な売りが続いていたので、これは単なるテクニカル面での修正のように見えますが、投資家にとってはインフレ抑制への動向が懸念されるなかで、未だソフトランディングへの期待の高まりを示するものとなりました。

欧州の株価も上昇傾向にあり、米先物も小幅上昇している状況です。

ECBタカ派姿勢によるユーロ上昇も米ドル下落

為替市場では、米国債利回りの低下によって米ドルは下落しました。

しかしながら、今週の利回り上昇にもかかわらず、米ドルは損失で今週の取引を終えそうです。

日本円においても日銀によるイールドカーブ・コントロール政策撤廃への見通しが不確実なため、下落傾向となりました。

日銀の10年物国債利回りの上限である0.5%は、ここ数日幾度かの突破が繰り返されて上昇しています。

今日のユーロは米ドルに対して1.0580ドル付近から上昇している状況です。

ユーロの強気トレンドは、まだ時期尚早ですがECBによる4.0%までの利上げ観測によって、下振れは限定的となるでしょう。

ユーロ圏のインフレが今もなお加速しており、ECBメンバーは2月の会合での議事録によると今後の最終レートまでは、かなりの道のりがあると自覚している模様です。

ポンド&豪ドル上昇

昨日はイングランド銀行のピル理事が英経済は予想以上に前進していると述べたため、ポンドも上昇しました。

今日も、豪ドルの次にポンドは上昇しています。

日曜日の中国全国人民代表大会の年次総会を控え、リスクムードが改善したことで、豪ドルは上昇している状況です。

この年次総会にて、中国政府が6%という高い成長目標を設定したとしたら、さらなる刺激策実施の示唆によって、豪ドルも上昇する可能性が高いと言えるでしょう。