米国債利回り低下でゴールド&株価復活

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債券市場安定で株価上昇

今週は債券市場が安定感を取り戻したことをきっかけに、他の資産が楽観ムードとなり、前向きに取引が開始された模様です。

株式市場とゴールド価格は先週の金曜日に大幅に上昇して、今日も米国債利回りの後退に支えられて続伸しています。

先週金曜日に発表された米ISM非製造業指数は、米経済成長の再加速と持続的なインフレ圧力、そして労働市場の活況を示唆する形となりました。

しかしながら、この堅調なデータにもかかわらず、米債券利回りは低下しました。

この予想外の反応は、先月の利回り上昇後の利益確定に起因するとの憶測もあります。

利回りとは本質的に金銭の価値なので、金融市場では重しとして働きます。

利回りが低いほど、株式といったリスクの高い資産は魅力的となり、利回りは高いほど、リスク資産の魅力は低下します。

この関係性によって、先週金曜日のS&P500は1.6%上昇し、ナスダックも2%上昇しました。

しかし、米経済データの回復力は高い利回り傾向を示していますが、高すぎるバリュエーションによって、企業収益が昨年から縮小しています。

それゆえ、株式市場を取り巻く環境は、今もなお困難であると言えます。

米ドル下落&ゴールド上昇

コモディティでは、ゴールドが大きく反発して先週は2%上昇しました。

ゴールドは実質利回りと米ドル下落の恩恵を受けた模様です。

しかしながら、FRBの利上げ持続観測によって、ゴールドの上昇も限定的となる可能性が高いと言えます。

為替市場では、米利回りの低下と株式市場の明るい見通しにより、米ドルは下落しました。

世界的なリスク選好と深いつながりのあるポンドに対しても、米ドルは下落しました。

先週金曜日の堅調な経済データを踏まえると、米ドル後退は稀な現象と言えるでしょう。

米経済を示すデータの恩恵を米ドルが好調な受けないという現象は、ここ数か月続いており、逆にリセッションを示唆するデータによって、米ドルは急落しています。

そのため、FRBの利上げ観測にもかかわらず、市場は米ドルに対して躊躇しているように見受けられます。

その一方で、欧州株への流入から判断して、米国以外の経済に対しては楽観姿勢を反映している模様です。

豪中銀による金融政策は明日発表

今週は豪中銀、カナダ中銀、日銀と政策発表が続きます。

米国では重要な米雇用統計発表を控えて、FRBパウエル議長が議会で証言する予定です。

豪中銀は、明日の政策会合で80%が0.25%の利上げを支持しています。

この利上げ観測は完全に織り込まれていないので、豪中銀が利上げするとしたら、豪ドルが一時的に上昇する可能性もあるでしょう。

しかし、豪ドルは全体として中国の動向と最終レートに依存する格好となるでしょう。

全国人民代表大会が開催されている中国では、今年の経済成長目標を5%に引き下げると発表しました。

理由は、中国の不動産セクターでの課題のなか、政府による刺激策の準備ができていないことを示しています。

それゆえ、原油価格と中国の情勢に鋭敏な通貨は、この動向を好意的には受け止めなかったと推測できます。