FRBパウエル議長のタカ派発言によって米ドル上昇 投稿者: kaigaifx-trade2023年3月8日2023年3月8日市場ニュース FRBパウエル議長は利上げ引き上げ&加速を示唆 昨日の米ドルは他の主要通貨に対し、上昇して今日も続伸している状況です。ドル高の要因は、昨日のFRBパウエル議長の上院での議会証言によるものと見受けられます。パウエル議長は今後の経済データがさらに厳しい行動を正当化するとしたら、インフレ抑制のために、積極的な行動を行うと述べました。予想以上に堅調な米経済を示すデータが続いたことにより、既に他のFRBメンバーは、今後の大幅利上げの必要性を述べています。しかしながら、昨日のパウエル議長の発言はディスインフレの過程を強調するわけではなく、大きなステップへの可能性を示したので、市場はFRBによる大幅利上げ観測を高めました。次回の政策会合で0.5%の利上げの可能性は30%から70%となり、最終レートは5.65%まで押し上げられました。今日のパウエル議長は下院にて同じ証言を行う予定で、昨日の発言が繰り返されるとしたら、米ドルは続伸する可能性があります。しかし、FRBの大幅利上げ観測も下振れのリスクがあると言えるでしょう。理由は、次回の会合を控えて今週金曜日の米雇用統計と来週発表の米CPI指数の結果を吟味する必要があるためです。これらのデータが予想に反して軟調な結果となったとしたら、米ドル下落につながる可能性があります。 今日カナダ中銀政策発表で利上げ据え置きによりカナダドル下落の可能性 今の米ドル上昇も、とくにユーロに対しては持続的な上昇になるのかは、疑問が残ります。昨日発表されたECBの調査によると、ユーロ圏の消費者インフレは1月に低下して、賃金上昇への期待は今もなお高まっているなか、今後数か月間でインフレ加速につながる可能性があります。市場は、ECBが年内に合計で1.65%相当の利上げを行うと予測しています。そのため、ユーロドルの見通しは不確実なままと言えます。利上げ期待の高まりがリスクセンチメントを圧迫しているので、米ドルはリスク連動通貨に対して上昇するかもしれません。カナダの1月のインフレ減速と軟調な第4四半期のGDPによって、カナダ中銀は今日の政策会合にて利上げを据え置きにすると予測されています。その場合には、米ドルはユーロよりもカナダドルに対して上昇することになるでしょう。市場は今のところ、カナダ中銀による年内の利上げを0.25%と予測しているので、今日の政策発表後の声明にて、カナダ中銀が利上げの据え置きを発表し、動向を見守ると言った傍観姿勢を示したとしたら、今日にもカナダドルは圧力を受けることになるでしょう。 米国債利回りの逆イールドにより米株式市場は下落 パウエル議長のタカ派発言によって、世界の株式市場は下落する形となりました。金利上昇が企業の収益性とバリュエーションの低下、そして米経済全体のリセッションを示唆するとの懸念から、とくに米株式市場の主な指数はそれぞれ1%以上下落しました。これは米国債の2年物利回りと10年物利回りのスプレッドが1981年以来の低水準まで低下したことでも裏付けされています。短期利回りの急騰とドル高は、ゴールドにとって良い材料となりません。ゴールドは下落して、2月28日以来の回復全てが帳消しとなる結果となりました。ゴールドは未だ200日間の指数移動平均を上回っている状況ではあるものの、それを下回る下落になったとしたら、ゴールドの弱気トレンドを引き起こす可能性が高いでしょう。