SVB破綻でFRBの利上げ見送りの可能性&米ドル下落 投稿者: kaigaifx-trade2023年3月13日2023年3月13日市場ニュース SVB破綻とFRB救済措置でFRB利上げ見送りか 先週の金曜日の米ドルは他の主要通貨に対して下落し、今日も続落しています。米雇用統計が先週末に発表されて、雇用の伸びと共に失業率の上昇と賃金上昇の減速も鮮明化しました。先週の議会でのFRBパウエル議長によるタカ派発言を受け、市場は次回会合での利上げを0.5%へ上方修正しました。しかしながら、金曜日の失業率の上昇と賃金の減速によって、利上げ率について再検討する形となりました。そして、シリコンバレー銀行の破綻によって、米政府が銀行システムを安定にするための救助策を打ち出すとの報道で、米ドル下落が拡大しています。この混乱とFRBの対応を受けたことで市場は0.5%利上げ観測を撤回し、一部では利上げ据え置きもあるのではとの憶測が広まっているようです。FF金利先物によると、次回の会合で市場は70%が0.25%の利上げを支持しており、残りの30%は利上げ据え置きを予測しています。また、最終レートについては4.95%まで引き下げ、年内までの利下げも価格設定に織り込まれています。 米株式先物が急騰&ゴールド1ヶ月ぶりの高値更新 シリコンバレー銀行の破綻によって、先週金曜日の米株式市場はハイテク株の多いナスダックが下落を牽引して、3つの主要指数全て1%以上下落しました。米国債利回りの低下とシカゴ・オプション取引所のボラティリティ指数が12月に更新した水準まで急上昇したことは、市場は株式ではなく、安全回避として国債への投資に向かったことを示唆しています。しかし、政府による緊急対応計画の発表によって、市場の混乱も今日は緩和されている模様です。米株式先物は強く反発し、今日開場直後から強い上向きを示し、金曜日の損失を回復している状況ですが、ヨーロッパ市場の開場で新たに圧力がかかっている模様です。ゴールドも今日の開場直後から数分で1か月ぶりの高値まで急騰して、1,895ドルのレジスタンスになった後は、若干の反落をみせました。米ドル下落と米国債利回りの低下と安全資産への流入とともに、ゴールドは先週金曜日に上昇しましたが、今日の反落は大規模なものではないように見受けられます。市場によるFRB利上げ観測修正が米ドルと国債利回りに圧力となり、明日の米CPI指数発表までは、ゴールド上昇は続く可能性が高いでしょう。 明日発表される米CPI指数発表に注目 現在の市場環境では、明確に長期的な見通しを予測することは難しいですが、現段階では、明日の2月の米CPI指数の発表に注目が集まります。総合CPI指数は、前年比で6.4%から6.0%、コア指数は5.6%から5.5%に低下すると予測されています。原油価格の前年比下落がマイナス圏に落ち込んだことで、総合指数の急激な下落は通常よりも大きくなると見られています。それゆえ、市場は基調的なインフレ・ダイナミックスに最も注意を払うべきでしょう。コア指数が予想以上に下落したとしたら、市場はFRB利上げ観測修正を確信し、米ドルは下落幅を拡大して、株価は若干回復する可能性があると言えるでしょう。しかしながら、ISMの企業調査によると、2月のインフレ圧力持続が指摘されことでリスクが高まる可能性があります。ただし、CPI指数が予想外の上振れとなったとしたら、FRB利上げ観測を0.5%に上昇修正するまでにはいかず、持続的な米ドル復活を保証するものとはならないでしょう。