SVB破綻の混乱収束もクレディ・スイス懸念で市場低迷

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リスク選好回復もクレディ・スイスへのリスク懸念

シリコンバレー銀行破綻に端を発した今回の金融危機は2008年以来最大の危機となり、市場の混乱を引き起こしました。

しかしながら、今日は市場も正常に戻りつつある模様です。

昨日の米国とヨーロッパでの銀行株は若干反発し、とくに驚くべきことは、債券利回りの急激な低下のなかで金利に鋭敏な株が回復したことと言えます。

ナスダック100指数は今のところ、先週の推移まで回復していますが、S&P500は約1.8%下落しています。

ただし、総合ナスダック指数がS&P500よりもわずかに健闘していることは予想外で、これは流動性への懸念が小規模で脆弱なテクノロジー株の懸念材料となっている兆しの可能性があります。

さらに、シリコンバレー銀行破綻による被害拡大への不安だけでなく、この件に関して、FRBによる銀行規制強化が検討されているので、市場は未だ大きな警戒感を表している模様です。

スイス銀行大手クレディ・スイスを取り巻く問題についても、長引く不安の一因となっている可能性があり、今日の欧州株式市場および米国先物の下落につながっているように見受けられます。

昨日、クレディ・スイスは年次報告書で財務報告の内部統制に重要なウィークポイントがあったことを認めたので、今日の株価急落の引き金となりました。

このレポートは、すでに圧力を受けていた銀行セクターにとっては、最も最悪のタイミングだったと言えるでしょう。

米CPI指数発表後もFRB利上げ観測は変更なし

債券市場は、株式市場全体の回復に裏付けられるように、落ち着きを取り戻したように見受けられます。

米10年債利回りは、今回の危機以前の4%圏まではいきませんが、約3.65%まで回復しています。

重要なことは、この金融危機以降も、RBの利上げ観測が堅調に推移しており、米銀行システムに対する信頼はダメージを受け、市場は引き続き圧力にさらされているを示唆しています。

昨日は米CPI指数の発表があり、低インフレが金融環境の安定を維持するのに不可欠となるので市場の注目を集めました。

総合インフレ指数は予測通り2月に前年同月比で6.0%に低下しましたが、コア指数は賃貸料の大幅な上昇から、月次ペースで予想を若干上回る形となりました。

米ドルは対ユーロで上昇傾向

このデータにもかかわらず、現在市場はFRBが今後2回の会合で0.25%ずつの利上げを実施すると予測しているので、米ドル上昇の障壁となっているようです。

昨日、米ドルはFRBのタカ派姿勢への憶測を払しょくできず、何とかサポートされたようです。

しかしながら、クレディ・スイスへの新たな懸念によって、今日のユーロドルのセンチメントは反転したようです。

明日の政策発表を控えるECBは0.5%の利上げの可能性を受けて、ユーロは上昇しました。

しかし、新たな欧州銀行危機への懸念の高まりによって、ユーロは下落して明日のECBの政策にも影響する可能性があります。

今日の英予算案発表でポンドにサポート

オーストラリア・ドルも下落しており、中国からの経済回復を示すデータからの恩恵を失いつつある状況です。

一方、イギリスでは今日のハント財務相による予算案発表を控え、ポンドは様子見のようです。

ハント財務相には、昨年9月にトラス首相が引き起こした金融案の失敗から市場の信頼回復が期待されています。

減税の可能性は低いですが、おそらくエネルギー補助金の支給を継続して、企業に対して何らかの減税を発表することが予測されています。