銀行危機の中、今日ECB政策発表&新たな混乱で米ドル上昇

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クレディ・スイスの懸念で市場は安全性求める

昨日米ドルは、日本円を除いた他の主要通貨に対して上昇しました。

これはクレディ・スイスの筆頭株主が、規制上の問題を理由に支援を拒否したことをきっかけとしたものです。

これによってスイスフランとユーロが最も下落し、クレディ・スイスの自社株も過去最低まで落ち込みました。

また、欧米の債券利回りは再び急落して、市場はFRB利上げ観測後退へ修正しました。

昨日の段階では、早くとも来週の会合で利上げを見送るとして、年内の金利は3.45%辺りと修正しました。

さらに昨日発表の2月の米PPI指数が予想を下回ったことによって、消費者物価も今後数か月で急激に減速すると見られ、市場によるFRBの利上げ見送りの予測に結び付いた模様です。

しかし、今日のスイス政府によるクレディ・スイス救済への協議開始とのレポートを受けて、米ドルは下落しています。

その後、クレディ・スイスはスイス国立銀行から500億フランを借り入れるとの声明を発表しました。

一方、ニュージーランドのGDPが第4四半期に0.6%の縮小を示したことで、NZドルへの圧力が強まったことを引き金に、米ドルはNZ ドルに対しては上昇しています。

現在、市場はFRBが来週の会合で0.25%の利上げを行うと70%の確率で予測しているようです。

しかしながら、金融環境に対する緊迫感は完全に拭いきることは出来ておらず、年内まで約1%の利下げを織り込んでいる状況です。

先週のFRBパウエル議長は議会にて、タカ派姿勢を示して従来よりも高い水準まで利上げをする必要性があると述べました。

しかし、市場の現在の憶測と一致する新たなドットプロットを想定することは困難となっているため、来週の会合をめぐるリスクは上向き傾向と言えるでしょう。

ECBは0.25%の利上げ減速の可能性も

今日はECBによる政策発表が予定されており、市場はECBの利上げ観測も後退と見ているようです。

ラガルド総裁が0.5%の利上げは非常に可能性が高いと述べているものの、市場は現在0.25%か0.5%の利上げに意見が分かれている状況です。

そのため、ECBによる0.5%の利上げも疑問の余地がまだありますが、今日0.5%の利上げが発表されたとしたら、ユーロも上昇する可能性があります。

しかしながら、ユーロ上昇には最新のユーロ圏の経済予測と今後のECB政策会合の見通しによるでしょう。

米株式市場下落も取引後半に反発

欧州株式市場は、銀行セクターの安全性への懸念から売り圧力が強まり、昨日は今年で最悪の日となりました。

しかし、スイス政府とスイス国立銀行によるクレディ・スイス救済のレポートを受けて、米株式市場の主要指数は回復し、ナスダックは若干の上昇で取引を終えました。

ただし、世界の中央銀行が大幅な利上げを実施するとしたら、次の売りへのリスクは明らかであるため、今もなお市場に緊張感が漂っている状況です。

株式の下落と世界の債券利回りの下落によって、ゴールドは上昇して月曜日に更新した高値を超えて2月2日に更新した1,960ドル辺りまで上昇し続けています。