FRB予測に市場が懐疑的になり米ドル失速&円高に

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FRBの年内利下げ否定も市場は懐疑的

今週は世界市場にとって非常に多忙な週となりました。

市場は、FRBによる金利予測についての不信感がますます広がっている状況です。

今週、FRBは年末までの最終レートを5%以上と示唆して、パウエル議長も利下げが間近に迫っているとの憶測を払拭しましたが、市場はまだFRBの予測に懐疑的な模様です。

市場価格の予測は、年末までに金利が4%近くまで低下するとしており、FRBの金利予測と大きな乖離が出ています。

先の銀行を巡る混乱に端を発して、市場はリセッションが始まることを懸念しており、最終的にFRBによる利下げが余儀なくされると予測しているようです。

FRB利下げ観測が広まるなか、米国債利回りは低下したので、米ドル下落となりました。

利回りが低下することで債券の魅力が低下して、代わりにリスクの高い資産への投資が増加することになります。

それゆえ、ハイテク株や仮想通貨、ゴールドのような金利に鋭敏な資産の上昇につながる格好となりました。

ドル安円高に

FRB利下げ観測の高まりによって、日本円は恩恵を受けました。

日本でのエネルギー補助金の支給が始まり、インフレが冷え込み春闘での賃金交渉による賃金上昇も見込まれているので、消費者には良いニュースが続きます。

全体として、市場はFRBによる引き締めサイクルは既に収束していると見ており、日本の賃金上昇を受けて、今後の日銀による金利政策への修正が期待されています。

世界的な投資のムードがリスク回避に向かっており、安全通貨である円には有利な状況であると言えます。

逆に、下落した米ドルも今日は損失の一部を取り戻している模様ですが、高い確率で赤字で取引を終えると予測されます。

FRB利下げ観測は、米ドルの他の主要通貨に対する優位性を撤回する形となりました。

しかしながら、世界的な金融環境への懸念とボラティリティの高まりがあるため、米ドルに対してそこまで悲観的になることはないでしょう。

ユーロとポンド、そして株価も下落

ユーロ圏では最新の企業調査が発表となり、ポジティブな見通しが示されています。

企業経営者は銀行を巡る最近の混乱を懸念する代わりに、新規注文増加とエネルギー懸念の後退およびインフレ圧力の緩和に焦点が当たっているように見受けられます。

この好調な企業調査にもかかわらず、今日ユーロは下落しています。

ドイツ銀行の株価は今日10%下落して、クレジット・デフォルト・スワップの急増により、欧州の銀行に対する保護への需要が急騰しているなど、銀行セクターの健全性への懸念を反映している可能性があります。

昨日、イギリスではイングランド銀行が大方の予想通り0.25%の利上げを発表しました。

これを受け、ポンドは上昇しましたがイングランド銀行がさらなる行動の必要性を言及することに躊躇っていると市場は判断したことで、ポンド上昇は勢いを失う格好となりました。

昨日、株式市場はハイテク株の牽引で上昇しましたが、今日は下落傾向にあります。

全体として、米国株式市場のリスクリターンは魅力的ではないように見受けられます。

企業の収益低下は今もなお現実的で、バリュエーションが高いなか、利回りの低下が経済にとって喜ばしくないことを市場は実感することになるとでしょう。