低調な米ISM指数で米ドル下落&株価上昇

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3月米製造業は5か月連続縮小

現在、世界市場にはインフレ加速とリセッションへのリスク懸念が広がっている状況です。

今週はOPECプラスによる減産計画発表で原油価格が急騰して、インフレへの懸念が復活しました。

また、昨日の米ISM製造業総合景況指数の低調な結果を受け、市場はリセッション懸念とともに取引を終えました。

ISM調査によると、3月の米国の製造業活動は5か月連続で縮小を示す形となっています。

新規受注が大幅に減少したことで、雇用動向が弱まったので経営者は商品需要の見通しが暗いと判断した模様です。

この低調な結果を受けて、経済が取り組んでいる課題が鮮明化した格好です。

製造業は経済全体にとって、炭鉱のカナリア、いわゆる「危険の前兆」と見られており、差し迫ったリセッションの兆候が表面化したことで、FRBの年内利下げ観測が高まる形となりました。

米ドル下落&株価上昇

為替市場では、軟調な経済指標で利下げ観測が高まり、米国債利回りを押し下げたことで、米ドルは下落しました。

一方、ユーロとポンドは反転して米ドルに対して昨日は1%以上上昇する結果となりました。

ゴールドは米ドル安と実質利回りの低下から恩恵を受けて、1オンス1,980ドル以上まで上昇しました。

銀行危機以来、押し目買いの投資家が増加して、利下げ観測と利回りの低下によってゴールドを取り巻く環境は変化しています。

株式市場では、製造業からの警告はS&P500にとってマイナスになりませんでしたが、OPECによる減産計画発表でエネルギー株が急騰したので結果、上昇で取引を終えました。

全体としては、FRBによってバランスシートは拡大し始めて、数か月にわたる量的引き締めが取り消されたことによって、株式市場には流動性に関して楽観ムードが続いています。

テスラ株が6%も下落したものの、米株式市場が上昇を維持したことは驚くべきことでしょう。

この下落の要因は、テスラの第4四半期での出荷台数が期待外れの結果となり、需要を強化すべく価格を引き下げたにもかかわらず、改善が見られなかったことによるものと見受けられます。

豪中銀は金利据え置き発表&明日NZ中銀による政策発表

株式市場の楽観ムードと商品価格の上昇のなか、昨日豪ドルが米ドルに対して約2%も上昇しました。

しかしながら、オーストラリア準備銀行が本日金利据え置きを発表したので、この動きも限定的となっています。

豪中銀は今後の引き締めの必要性については未定であることを示唆したので、豪ドルは下落しました。

しかし、豪ドルは昨日の上昇の半分も取り消していないので、世界的なリスクモードに警戒している模様です。

明日はニュージーランド準備銀行による政策発表が予定されています。

市場は0.25%の利上げを完全に織り込んでいますが、NZ中銀も引き締めサイクルの終わりを示唆したとしたら、NZドルも影響を受けることになりますが堅調な国内の経済指標から、その確率は低いと言えるでしょう。