高まるFRB利下げ観測で米ドル続落
昨日の米ドルは、ほとんどの主要通貨に対して下落し、損失を拡大する結果となりました。
現在、市場はFRBが次回会合で0.25%の利上げを行うかについて決めかねているように見受けられます。
先週末のOPECの減産計画によって、原油価格は高騰したので市場は消極的に0.25%の利上げを設定しましたが、低調な米経済指標の発表が続いたことで利上げ予測に疑問を投げかけている模様です。
米ISM製造業PMIが製造業の縮小を示唆したあと、昨日は米国労働省により、2月の求人件数が2021年5月以来初めて1,000万件を下回ったことが報告されました。
銀行破綻により銀行システムが懸念されるなか、経済の冷え込みを示すデータの発表は、FRBによる大幅な利上げが、深刻なリセッションをもたらすことへの不安材料となりました。
このような懸念から、現在市場は5月の次回会合で、金利据え置きと利上げで意見が分かれており、一連の利下げ観測で金利は年末までに4.2%になると予測している模様です。
また、今日は3月の米ISM非製造業PMIの発表が注目されるでしょう。
予測は小幅下落ですが、指数は拡大を意味する50を上回っています。
しかしながら、サービス部門が米国のGDPの80%を占めることを踏まえると、予想を下回る指数は米ドル下落につながる可能性を高めることなると言えるでしょう。
米株式市場下落&ゴールド2,000を超え急騰
その一方で、昨日の米株式市場は全ての指数でそれぞれ0.5%以上下落しました。
FRBの方向転換への期待が高まるにつれて株価は上昇することから、この展開は予想外と言えます。
理由は、リセッションへの懸念が金利の低下とバリュエーションの改善への期待を上回ったためです。
また、JPモルガンのCEOが銀行セクターの安定性への懸念から、銀行危機が今もなお進行中であり、この先何年にもわたって影響が出ることを述べたことも背景にある可能性があります。
しかしながら、全体的に株式市場は昨日は下落したものの、引き続き底堅いように見受けられます。
ナスダックはキーゾーンである12,900を上回っており、S&P500も重要なエリアである4,150辺りで留まっています。
市場は予測に反するデータではなく、予測を再確認するようなデータに寄せていく傾向があるので、FRBの方向転換を示唆するような指標が発表されたとしたら、これらのゾーンを突破して上昇する可能性もあるでしょう。
もしも、この突破が今週に起こらなかったとしても、次は来週発表の米CPI消費者物価指数がインフレの鈍化を示した時となる可能性があります。
そして、米ドル安から最も良い影響を受けたのはゴールドでした。
軟調な求人件数の発表直後にゴールドは急騰して2,000ドルを突破しました。
市場はFRBの年内利下げ観測を頑なに支持しており、ゴールドに対する抵抗が低下する見通しは上向きになると言えます。
次に待ち受けるのは、3月8日に更新した2,070ドルもしくは2020年8月7日に更新された過去最高値の2,075ドルとなるでしょう。
NZ中銀は予想以上の0.5%利上げ発表でNZドル上昇
今日の米ドルは豪ドルに対しては上昇していますが、特にNZドルに対しては下落している状況です。
理由は、今日ニュージーランド準備銀行が大方の予想の0.25%ではなく、0.5%の利上げを発表したことでNZドルが急騰しているためです。
さらにNZ中銀は金利政策は収縮しているものの、インフレ抑制に向けて利上げは継続すると発言しました。
昨日はオーストラリア準備銀行が金利据え置きを発表したことから、この2中銀の政策上の差がさらに拡大している状況です。
豪ドルとNZドルの通貨ペアのリスク・センチメントが相殺されるので、この中銀の差によってNZドルは豪ドルに対して、しばらくの間上昇し続けることが予想されます。