市場の関心は米CPIに移行&米雇用統計への反応は限定的

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米非農業部門雇用者数の結果も米利上げ観測継続

先週金曜日の堅調な米雇用統計の結果は、米労働市場の底堅い動きを鮮明化し、ISM景気指数での脆弱な結果を背景に高まっていたリセッション懸念を緩和させる形となりました。

米3月非農業部門雇用者数は23.6万人増となり、市場予想を若干下回りましたが、失業率は3.5%までと予想外に改善しました。

平均時給は前月比では変化がなかったものの、前年同月比では緩やかに鈍化しました。

2か月連続の雇用者数鈍化後、労働市場の冷え込みは明白ですが、5月の米利上げ方針を変更させるには不十分と言えるでしょう。

米雇用統計発表後、翌月の0.25%利上げの可能性は上昇したにもかかわらず、市場での利上げ観測は3分の2に留まっています。

そのため、今週水曜日に発表される米3月消費者物価指数に大きな注目が集まると予想されます。

米3月消費者物価指数は、大幅な低下が予想されていますが、前年同月比での大幅な低下予測の背景には、前年のエネルギー価格高騰があります。

それゆえ、FRBは前年同月比結果よりも、サービスセクターでの結果を重視する公算が大きいと言えるでしょう。

また、米消費者物価指数の予想を下回る結果が、翌月の利上げ方針変更に結び付く可能性も低いと言えるでしょう。

米企業決算シーズン前に株式市場は静かなスタート

重要な課題は、5月の利上げ後にFRBが利上げ停止に踏み切るかと米リセッションの可能性になると推測されます。

金融不安については、危機緩和を示すデータも発表されています。

3月末での米国の銀行への入金が増加して、先週でのFRBからの緊急貸付枠もやや減少しています。

その一方で、今後の見通しを示すISM景気指数での雇用と新規受注の鈍化は懸念材料です。

しばらくは、株式市場には先行き不透明感が残ると見受けられます。

今週金曜日には、米大手銀行の決算結果と共に決算シーズンが始まり、短期的には株式市場の関心は、第一四半期の決算シーズンに向けられています。

今のところ、年内利下げ観測に変更は見られませんが、銀行の混乱による債券への影響が継続するなか、予想外に好調な決算結果が株価を高騰させる可能性はあります。

先週金曜日の米株価先物指数には大きな動くは見られず、今日は先週の終値付近でスタートする見通しです。

しかし、イースター休暇によって今日も欧州の多くの市場が休場なので、流動性の低下が継続しています。

米雇用統計後に米ドル高が失速&ゴールド下落

通貨市場では米雇用統計の堅調な結果により、先週の米ドルは前半の下落から回復し、上昇して引けました。

しかし、今週の米ドルは円とユーロを含む主要通貨に対して、やや下落して推移しています。

円相場は今後の金融政策を見極めるので、GMT10:15からの日銀の植田新総裁の会見が注目されるでしょう。

今週水曜日のFOMC議事録発表前に、明日には多数のFRBメンバーの発言が予定されています。

カナダドルは先週の高値から下落し、今週も下落が継続している状況です。

今週水曜日のカナダ中央銀行の政策会合では、今回も政策金利の据え置きが予想されているので、カナダドル上昇には結び付かないと予想されます。

しかし、最近の経済指標の比較的好調な結果を踏まえると、タカ派的見解の余地もあると言えます。

先週に1年ぶり高値2,031.89ドルを達成したゴールドは、方向性を欠く米ドルの動きにもかからず、上昇勢いを維持できずに、2000ドルを試す展開となっています。

台湾を取り巻く地政学リスク上昇を考慮すると、今日のゴールド下落はサプライズと言えます。

台湾周辺での3日間の中国軍事演習は、西側諸国への対抗措置と見なされる可能性が高いですが、中国と台湾および米国の緊迫化と市場では見なされず、ゴールド上昇には結び付かなかった模様です。