FRB利上げ観測強まる&米株式市場と米ドル変動

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米株式市場が収益シーズン開始に先立ち復活

先週金曜日の米株式市場はイースター休暇で休場でしたが、昨日の市場は休場後ということもあり、価格が大きく変動しました。

先週の3月米非農業部門雇用者数の堅調な結果を受け、FRBによる引き締めへの警戒感から、S&P500とナスダックはともに、大きな赤字で開場しましたが、開場後センチメントはすぐに向上した模様です。

米経済が銀行危機を乗り越えるとの信頼感が小型株と工業株をサポートし、半導体株はサムソンによる半導体生産削減の決定から大きな恩恵を受けました。

アップルによるMacコンピューターの出荷台数の低迷から、テクノ株は下落する結果となりましたが、いくつかの上昇株もありました。

S&P500は、すべての損失を挽回して、0.1%上昇で終了しました。

しかし、ナスダック総合指数は横ばいで取引を終えました。

今週は第1四半期が始まって、債券市場がリセッション・リスクを示しているものの、市場のムードは前向きと言えます。

バリュエーションは今のところ高いようですが、期待がそこまで高くないと言えども、収益主導のラリーは、どのくらい上昇の余地があるかはまだ未知数と言えます。

明日の米CPI指数発表&FRBメンバー発言に注目

明日は、米CPI消費者物価指数が発表されるので、大きな注目となることが予想されます。

予想以上の上昇となったとしたら、FRBの利上げ観測をさらに押し上げる結果になるでしょう。

次回の5月会合では現在70%以上が0.25%の利上げを支持していますが、利下げ期待はやや低下しています。

今日FBRメンバーの講演が予定されており、インフレとの戦いがまだ終わっていないことを強調することで、銀行危機の影響を過小評価することに懸念が残る状況です。

円安によるドル見通しは混沌

FRBメンバーがタカ派に徹したとしても、ECBやイングランド銀行など他の中央銀行が利上げを一時停止する可能性があるので、どれほど米ドルを押し上げるかは疑問が残ります。

ユーロとポンドおよびスイスフランは、今年最もパフォーマンスの高い主要通貨の代表となっています。

米ドルは日本円やオーストラリアドルなど、中央銀行が慎重な姿勢を見せている通貨に対して上昇する機会があると言えるでしょう。

豪中銀は、インフレ率を目標に一旦戻すために、時間をかけて対応することを示唆しました。

また、日銀の植田新総裁は昨日の就任演説で、政策の正常化への選択肢は準備しているものの、早急に取り組むことは示唆しませんでした。

さらに、イールドカーブ・コントロールが、もし最終的に廃止されたとしても、日本は金利が大幅に上昇する状況にはないことを明確にしました。

そのため、日銀の政策転換への期待に水を差す形となったため、今日も円は下降基調です。

一方、ドル指数は昨日の低迷から大幅に回復して1週間ぶりの高値まで上昇したのちに、小幅下落している形です。

中央銀行の政策転換への期待で仮想通貨上昇

今日発表された中国の消費者物価指数が予想以上に鈍化したことで、アジアの中央銀行は利上げの一時停止か、引き締めサイクルを開始する意思がないとの憶測が強まる格好となりました。

理由は、パンデミックから中国経済の回復力に対して疑問が浮上しているなかで、ムード向上に拍車をかける結果となりました。

この利上げ停止観測は、今週の仮想通貨上昇を部分的に押し上げている可能性があるので、FRBによる利上げ停止への期待が高まっている状況です。

主要な仮想通貨は3月中旬から大幅に回復しており、ビットコインにおいては2022年6月以来初めて30,000ドルの上限を突破しています。