今日の米CPI指数&FRB議事録発表に注目
昨日の米ドルは、ほとんどの主要通貨に対して下落し、今日も下落基調です。
ドル安への明確な指標がないので、今日の3月米CPI消費者物価指数を控えて、市場はロングポジションに入ることに積極的ではないかもしれません。
CPI指数は総合で前年比6.0%から5.2%に低下すると予測されていますが、コア指数は前年比5.5%から5.6%に上昇すると見られています。
総合インフレ指数低下は、前年比で推移する原油などのボラティリティの高い銘柄による価格下落が原因であるとの見方が強まっている状況です。
堅調な米雇用統計に続き、基調的な価格圧力がわずかでも加わると、FRBによる次回会合での0.25%の利上げに信憑性が増すことになると言えますが、年末までの利下げに関する憶測を拭い去るには十分とは言えないかもしれません。
FF金利先物によると、現在市場は12月までに0.5%以上の利下げを織り込んでいます。
今日はFRBの前回会合での議事録も公表されるので、市場はFRBの将来の方向性についての手がかりを探ることになると見受けられますが、最近の市場はFRBの方向転換への予兆に反するデータや見解を軽んじて、自らの見解を再確認することに重きをおいている模様です。
そのため、議事録が年内の利下げを示さない内容であったとしても、市場は耳を傾けない可能性もあります。
したがって、米ドルはいくらか上昇する可能性もありますが、完全復活の予兆になる可能性は低いと言えるでしょう。
逆にCPIコア指数が予想を下回り、議事録が年末までの利下げを示唆したとしたら、米ドルは、とくにユーロに対して続落する可能性があるでしょう。
ECBは連続3四半期近く利上げを継続すると予測されており、FRBとECBの政策の乖離がユーロドルを押し上げて、2月2日に更新した1.1035の高値まで上昇する可能性があります。
米株式市場は米CPI指数&大手銀行の決算待ち
その一方で、昨日の米株式市場は強弱混合で取引され、第1四半期の決算報告への期待のなか、米CPI指数がどのくらいFRBの将来の政策に影響を及ぼすかに警戒しているようです。
今週金曜日には、シティグループ・JPモルガン・ウェルズファーゴといった大手3銀行が決算報告を予定しているので、市場は銀行危機の影響がどれほど深刻であるかを見極める絶好の機会になるでしょう。
全体としては、S&P500の総利益は前年比で5.2%減少することが予測されており、四半期初めの1.4%の成長から下方修正されると見られています。
また決算報告が予想を下回ったなら、上振れリスクを示唆し、とくに今日のインフレデータが、予想よりも減速し続けたとしたら、S&P500は主要なレジスタンスゾーンである4150を超えて週を終える可能性があります。
米国債利回りはやや上昇したものの、ゴールドはドル安の恩恵を受け、2000ドルを超えました。
台湾周辺での中国軍の軍事演習を起因にする地政学的リスクの懸念と相まって、FRBの方向転換を示唆するデータは、ゴールドの上昇を押し上げて、2022年3月に更新された2070ドル付近、もしくは2020年8月7日に更新された2075ドル辺りまで上昇することになる可能性が高いでしょう。
カナダ金利据え置き予想でカナダドル上昇か
今日はカナダ銀行による政策発表も控えており、注目を集めることになるでしょう。
カナダ銀行による利下げの可能性はわずか5%に低下しており、現在95%が2会合連続の金利据え置きを予測しています。
もしそうなれば、市場はカナダ銀行による声明と更新される経済予測を材料視して、今後の方向性を予測することになると見受けられます。
現在、市場は年末までに0.25%の利下げを織り込んでいますが、最新のデータはこの見解を正当化しているわけではないので、カナダ銀行は市場の期待に反する可能性があり、カナダドルにとってはプラスになる可能性もあるでしょう。
しかし、市場がカナダ銀行の見解を完全に信じるか、または12月までの利下げを織り込み続けるかは、カナダドルが如何に強さを維持できるかで決まることになるでしょう。