米CPI指数&FRB議事録公開で米利下げ観測によるドル安

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FRBによる年内利下げ観測維持で米ドル下落

昨日は3月の米CPI消費者物価指数が発表されて、総合インフレ率が予想以上に減速しました。

またFRBの前回の会合での議事録も公開され、2行の銀行崩壊を受けて利上げ停止を検討するFRBメンバーがいたことも示されました。

そのため、米ドルは他の主要通貨に対して下落を拡大する結果となりました。

総合CPI指数は、前年比で6.0%から5.0%と2021年5月以来の低水準まで減速しましたが、コア指数は2020年12月以来初めて、総合指数を上回ったので、総合指数の価格圧力の鈍化がエネルギー費などの不安定な項目が要因であるという見方を裏付ける格好となりました。

したがって、市場は70%の確率でFRBの次回会合での利上げを織り込んでいる模様です。

しかしながら、総合インフレ指数が1%も減速したこととFRB議事録がハト派的な内容であったことを踏まえると、年末までの0.5%以上の利下げへの期待が膨らむことになりました。

その一方で、ECBは年内に利下げせずに0.75%相当の利上げを続けると予測されており、ユーロドルは引き続き上昇するように見受けられます。

ユーロが米ドルに対して1.1035を超え、2022年3月31日に更新した1.1175の高値まで上昇すると見方もあります。

FRB会合議事録が銀行危機懸念を示唆して米株式市場が赤字で終了

この米CPI指数の結果とFRB議事録の内容であったものの、昨日の米株式市場は主要3指数全てが赤字で取引を終える形となりました。

米CPI指数の発表直後にS&P500は急騰しましたが、主要なレジスタンスゾーンである4150の領域に入ると後退し、その後のFRB議事録公開を受けて続落しました。

議事録ではFRBメンバーによる銀行の混乱に対する懸念が明らかとなったことで、今年後半の穏やかなリセッションの証拠から金利低下の見通しを維持することができなかった模様です。

そのため、市場は明日の主要銀行による決算を皮切りとする第1四半期の収益シーズンを迎えることになります。

ゴールドは昨日のドル安だけでなく、米国債利回りの後退や米国経済への懸念からも恩恵を受ける格好となり、引き続いて安全な避難場所として続伸しました。

ゴールドは4月5日の高値である2,033ドルに近づき、2020年8月7日に更新された記録的な高値である2,075ドル付近まで上昇する可能性が高まっている状況です。

カナダ銀行は金利据え置きもタカ派姿勢

また、昨日はカナダ銀行による政策発表があり、大方の予想通り2会合連続で金利据え置きを決定しました。

しかしながら、声明においては必要に応じて利上げをする準備ができているとの発言から、今年後半に利下げを期待する声には不満足の結果となったように見受けられます。

カナダ銀行のマックレム総裁は会合後の記者会見において、今年後半に織り込まれている暗黙の利下げは最も可能性の高いシナリオとは思えないと発言しました。

しかし、この発言を受けてもなお、市場は0.25%の利下げを未だ織り込んでいます。

理由は、カナダドルが米ドルに対してしばらく上昇する可能性があるか、ECBのように利上げが予測されるユーロに対しては下落する可能性があることを意味しています。

そのため、ユーロカナダドルの上昇トレンドは近いうちに再開するとの見方が強まっています。