米小売売上高発表を控え、米ドル続落&株価上昇

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米生産者物価指数低調でFRB利上げ停止観測に信憑性増す

先週の低調なISM指数で鮮明化した米経済状況は、今週発表された米CPI消費者物価指数と米PPI生産者物価指数でも確認され、3月の好調な米雇用統計にネガティブな要因となりました。

生産者物価指数は、ほぼすべての測定値が予測と前月の数値を下回り、米インフレ率が3月に急激に減速したことを示唆する結果となりました。

さらに週間失業保険申請件数は、ここ最近の高値である23万9千件にまで上昇したことで米国経済の失速をを示しています。

今日は、米小売売上高に注目が集まるなか。小売売上高は2か月連続で0.4%減少すると予測されており、かなり厳しいと状況と言えます。

しかしながら、市場のFRB利上げ停止観測への期待が高まるなか、下振れの予測は上振れへのサプライズとなるので、市場が混乱する可能性もあります。

米ドル1年ぶりの安値まで下落

米ドルは、銀行危機以来の大きなダメージを受けており、米経済全体の信用環境を引き締めることが予測されているので、リセッションのリスクが高まっています。

銀行危機の真っただ中に行われた3月のFRB会合では、メンバーがさほど懸念を表明していなかったことが議事録で明らかになり、パニックも沈静化している状況ですが今のところほとんどの経済データが成長圧力と価格圧力の両方の勢いの低下を示している模様です。

理由は、FRBによる利上げの影響の効果が徐々に見え始めているからと言えるでしょう。

そのため、米ドルは過去1か月間で圧力が強まり、ドル指数は昨年9月のピークから約12%ほど後退して、1年ぶりの安値を更新する形となりました。

米ドルは、とくにユーロやポンド、豪ドルに対してドル安となっている状況です。

しかしながら、日本円に対しては日本円自体の脆弱さと奮闘しているため、それほど下落はしていない状態が続いています。

今日の小売売上高が、もし好調な結果となり、米ドル上昇に向かったとしても、FRBが年末までに利下げすると市場は確信しているので、上昇も限定的となる可能性が高いでしょう。

ECB利上げ観測からユーロ上昇基調

おそらくユーロは米ドルのFRB利下げ観測から最も恩恵を受けている通貨かもしれません。

現在、ECBは世界的な引締めサイクルが終焉に向かう中で最後のタカ派となっており、スロベニア中銀のバスレ総裁は、昨日のECBの5月の政策決定は0.25%から0.5%の利上げになるだろうと述べました。

ユーロは米ドルに対して、今日1年ぶりの最高値である1.1075ドルまで上昇しています。

ポンドも1.2510ドル辺りで安定しており、豪ドルは昨日の上昇から若干下落している状況です。

今週、豪ドルはオーストラリアでの好調な雇用統計と中国の堅調な貿易統計から押し上げられて上昇していますが、日本円は苦戦を強いられている状況です。

理由は、日銀の植田新総裁が国内のインフレ率が今年後半にも2%を下回ると予測し、賃金上昇にもかかわらず、大幅な引締めの可能性について言及を控えたためです。

とはいえ、今日の円はおおむね堅調であり、ドルは132.30円前後まで若干下落しました。

テクノ株好調も今日の大手銀行決算報告に注意

その一方で、米株式市場はリセッション・リスクにもかかわらず、FRBの利上げ一時停止が間近に迫っていることへの期待から、センチメントは前向きの模様です。

S&P500は先日2週間ぶりの高値を更新し、1.3%上昇して取引を終えました。

テクノ株も好調で、ネットフリックスが4.6%の上昇で牽引して、ナスダック総合指数は2.0%上昇しました。

ネットフリックスは来週に決算報告を控えており、市場は新しい広告を含む購読モデルが収益を押し上げることを期待しているように見受けられます。

今日は大手銀行であるシティグループとウェルズファーゴ、そしてJPモルガンによる第1四半期の決算報告が予定されています。

主要な貸し手であるこれらの銀行が中小銀行を中心とした地方銀行セクターの金融ストレスから影響を受けたのか、市場は査定することになるでしょう。

Eミニ先物は、これらの決算発表を前に僅かに下落して取引されている状況です。

上記の決算報告で、融資基準が大幅に厳しくなったとの兆しが示されたとしたら、米株式市場の最近の上昇を打ち消す可能性も十分あるでしょう。