米小売売上高減少&FRBタカ派維持でリセッションへ警戒感 投稿者: kaigaifx-trade2023年4月17日2023年4月17日市場ニュース 軟調な米経済指標でリセッションへ警戒感 先週の金曜日は米小売売上高が発表され、世界最大の経済における消費者需要の低下が指摘されたことを受けて、リセッションへの懸念が高まりつつあります。3月の総合小売売上高は主にガソリン価格と自動車販売の下落から、2月と比べて予想より1.0%も減少する形となりました。しかしながら、ボラティリティの変動の要素がない価格を含むコア売上高でさえも、3月は減少を示している状況です。米製造業生産も3月に縮小を示し、経済成長の鈍化へのさらなる警告となりましたが、この2つの指数の前月の数値は上方修正されているので、FRBメンバーへの警笛とはならなかった模様です。先月は銀行を巡る危機から、消費者が慎重になった可能性がありますが、銀行セクターだけでなく、消費者間でも落ち着きを取り戻しつつあることが回復の兆しを示唆していると言えるでしょう。ミシガン大学による消費者心理指数は、4月の速報値で上昇して、消費者の1年先のインフレ期待も3.6%から4.6%に跳ね上がる結果となりました。 リセッション・リスクもFRBはタカ派維持 最近の低調な経済指標が続いたのち、消費者心理の向上は予想外の結果となったことで、FRBにデータへの注意を払う必要があることを再確認させました。先週の金曜日にFRBのウォーラー理事は、FRBはインフレ率を目標に戻すことにあまり進展がないことを認め、金利政策をさらに引き締める必要があると述べました。アトランタ連銀のボスティック総裁は、若干穏便なトーンで最後の0.25%の追加利上げを示唆するまでにとどまりました。しかしながら、ウォーラー理事が金利政策の引き締めが市場予想よりも長期間続くことを示唆したことで、市場を落ち着かせることは出来なかった模様です。市場はFRBの次回の5月会合において、80%以上の確率で0.25%の利上げを織り込んでおり、ウォーラー理事の発言後には利下げへの期待が約0.2%低下し、市場も現実を受け入れ始めたように見受けられます。 テクノ株の決算報告への期待から株価上昇 一方で、金曜日の米株式市場はS&P500がわずか0.2%下落して取引を終えたものの、それほどダメージを受けていないように見受けられます。事実、今日の米先物は上昇で取引がスタートし、欧州の株式指数も堅調な上昇から取引が始まりました。金曜日にはシティグループとJPモルガンおよびウェルズファーゴといった銀行大手の決算報告があり、予想を上回る収益結果となりました。ただし、小規模な地方銀行はPNCファイナンシャルが2023年の期待外れのガイダンスを発行するなど、それほど力強いスタートとまではいきませんでした。明日はバンクオブアメリカとゴールドマンサックスの決算報告が控えていますが、今週は明日のネットフリックスと水曜日のテスラの決算報告などのテクノ株が注目を集めるでしょう。米経済が減速に進んでいる中、米株式市場のいくつかのバリュエーションは説明しがたい状況にあります。市場は金融環境が今年後半に緩和することを見込んで資産を投入しているように見受けられますが、もし仮にFRBが2024年まで金利を高く据え置くとしたら、リスクが高まることは確実でしょう。 米ドルは米国債利回りの上昇を追随&ゴールド反発 FRBによるタカ派発言から、先週金曜日の米ドルは他の主要通貨に対して0.5%ほど上昇し、今日も続伸している状況です。米10年債利回りは2週間ぶりに高水準に上昇しており、イギリスやカナダといった他国からのインフレデータが次々と発表されるなか、引き続き米ドルはサポートされる可能性があるでしょう。ここ数日のポンドは米ドルに対して1.25ドルから1.24ドルへと下落基調にあります。CPI指数の発表とは別に、ポンドの上昇は明日の英雇用統計と金曜日の英PMI速報値での上昇に注目が集まります。現在、ユーロは米ドルに対して重要となる1.10ドル以下まで下落しているので、金曜日に発表されるユーロ圏のPMI数値も注目されることでしょう。ドル高はゴールドに大きな打撃となりましたが、ゴールドは一時的に1オンス2,000ドル以下となった後に今日は復活している状況です。米国債利回りが先週金曜日の高値近くで維持されているものの、経済見通しに関する不確実性は、ゴールドにはサポートとして機能することでしょう。