米ドルは週間上昇基調もFRB利下げ観測高まる

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FRBによる利上げ予想も年内の利下げ観測高まる

昨日の米ドルは主要通貨のほとんどに対して下落しましたが、今日は回復している模様です。

先週金曜日のFRBウォラー理事のタカ派発言を受けて、市場はFRBによる次回5月会合での利上げを確信したため、年末までの利下げ観測を低下させる形となりました。

これによって米ドルは、ほぼ2か月ぶりに週単位での上昇基調となりました。

FRBがブラックアウト期間に入る数日前となる今では、クリーブランド連銀メスター総裁が、FRBはまだ利上げを行う用意があるとして次回会合での利上げへの信憑性が増しました。

とは言え、今週の米ドル回復は著しい復活には程遠いと言えます。

昨日発表された米経済データは未だリセッションへの懸念を示唆するものであり、現在の市場は12月までに約0.5%相当の利下げと2024年でのさらなる利下げを織り込んでいます。

先週の米新規失業保険申請件数は再び増加して、米労働市場が徐々に冷え込んでいることを示唆しています。

また、フィラデルフィア連銀の調査によると、この地域の製造業は4月に約3年ぶりに低水準まで縮小し、今後2四半期にわたって、企業活動が抑制すると予測されています。

ECBラガルド総裁はタカ派発言&日本円は上昇基調

FRBとは対照的に、ECBは合計で0.75%の利上げが予想されており、年内の利下げは織り込まれていません。

昨日ラガルド総裁は、ユーロ圏のインフレ率は高すぎるとし、インフレ抑制のために金融政策にはまだ行える何かがあると述べました。

この発言は市場の期待に応えることになる可能性があるので、ユーロドルの後退は限定的となるかもしれません。

このFRBとECBの政策の差によって、ユーロは対米ドルで近いうちに1.1035ドルを抜けて上昇する可能性があります。

今日の日本円は、米ドルが上昇していない唯一の通貨となります。

理由は、米経済の動向が懸念されるなか、日本円が安全資産としての魅力をここにきて発揮した可能性があり、日本の消費者物価指数が予想の0.1%を上回って、前月比で-0.6%から0.4%まで回復したことで、日本円がサポートされた可能性もあります。

このデータで、日本のインフレが減速し続けるかに疑問が生じたので、日銀による早期の政策正常化への期待が高まったと言えます。

しかしながら、日銀は来週の会合を前に、植田新総裁初の会合となるので当分の間は政策変更はないと予測されている状況です。

リセッションへの懸念が米株式市場の重荷

昨日の米株式市場は、テスラとAT&Tによる決算報告を受けて、3指数全て下落しました。

テスラは、過去2年間で最低の粗利益率を報告し、またCEOであるマスク氏が需要拡大のために価格を引き下げると発表したので、株価は約10%下落しました。

これで電気自動車の潜在的な価格戦争が引き起こされて、他の自動車メーカーの株価にも大きなダメージを与えました。

その一方で、AT&Tの株価は、収益とフリーキャッシュフローの見積もりが下回ったので、10%以上下落しました。

米経済への懸念も引き続き株式市場の重荷となっているようですが、年末までの利下げ予想から、株式への投資も選択肢として留まる可能性があるので、長期的な弱気トレンドと見るのはまだ時期尚早と言えるでしょう。

S&P500は4150の壁を突破するのに苦労しているようですが、金利低下を示唆するデータによって勢いを増し、その壁を突破する可能性もあります。

もし指数が3800を下回ったとしたら、しばらくの間見通しは暗くなると言えるでしょう。