株式市場は様子見&米ドルと株価ともに限定的な値動き

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株式市場は様子見

昨日の米株式市場は不安材料が重くのしかかる不確実性の中で緊張したセッションで取引を終え、今日も下落しています。

米ドルも最安値を更新して下落基調となり、米PMI指数は好調であったものの、市場はリセッションの可能性についてはあまり楽観視していない模様です。

この市場の不安心理の要因は、ファースト・リパブリック銀行が予想よりも大きな預金の流失を記録したことによる可能性が高いでしょう。

銀行危機での貸し手となった大手銀行は、余波によるダメージを受けずに済んだかもしれませんが、小規模な地方銀行が被った損害の全容は、決算報告により鮮明化しました。

理由は、他の銀行が破綻の危機にあるからではなく、波及効果によって信用状況は今後数か月にわたって引き締まり続けると市場が再認識したからと言えるでしょう。

債務上限を巡る米国議会の膠着状態が不安材料に

今週の低調な市場では、銀行トラブルとは別に粘着性のあるインフレと金融政策見通しへの影響と中国の経済回復の強さなどの既存の懸念材料も再浮上している状況です。

ホワイトハウスと共和党支配の下院が、借入限度額の引き上げを巡って対立が予測されていることも懸念材料となり得るでしょう。

今週、共和党のマッカーシー下院議長は債務上限を1兆5000億ドル引き上げて、連邦政府の支出を4兆5000億ドル削減する法案を提出しました。

民主党が過半数を占める上院では、この法案を拒否すると見られており、予想よりも低い税収のため、政府は6月には現金を使い果たす可能性があり、支払い不履行の懸念が高まっている状況です。

米ドルは上昇、ユーロは下落傾向、日本円は横ばい

FF金利先物は、12月までの利下げ観測をやや高く織り込んで、市場不安に対応する形となりました。

しかしながら、来週のFRBの会合では0.25%の利上げはほぼ確実視されています。

不安材料が重くのしかかるなか、債券市場は安全性を求めて利回りを押し下げました。

10年債利回りは10日ぶりの低水準となる3.4430%を更新して2年債利回りも低下しました。

堅調な米GDPとPCEインフレデータによって米ドルはサポートを見つけたように見受けられます。

今日発表される4月の米消費者信頼感指数にも注目が集まります。

一方、ユーロは昨日の急騰後に1.10ドル台を維持しています。

しかし、来週のECB会合前にメンバーからは政策方針について異なる意見が発表される可能性が高いので、上昇を維持するのは困難と言えます。

ECBのシュナーベル専務理事らはタカ派発言を維持するでしょうが、フランス中銀のビルロワ・ド・ガロー総裁らは引締めサイクルの終焉が間近であると見ているように見受けられます。

今日の日本円は横ばいで、先週の金曜日以来134ドル付近で推移している状況です。

本日の就任会見にて、日銀植田新総裁は超緩和政策の必要性を強調しましたが、賃金の伸びとインフレが予想以上に加速したとしたら、金利引き上げも検討することを述べました。

植田新総裁は前任者と違い、金融政策の引き締めへの議論に躊躇いはないようで、この姿勢がユーロとポンドに対し、下落した円の損失を取り戻す原動力となった模様です。

株式市場は大手ハイテク社の決算報告を控え様子見

米株式市場ではEミニ先物が欧州とアジアのトレンドに続いて、赤字で取引を開始しました。

S&P500とダウ・ジョーンズは昨日小幅高で取引を終えましたが、ナスダックは今週の大手ハイテク社の決算報告を控えて、一部ハイテク株に圧力がかかり0.3%下落する格好となりました。

マイクロソフトとアルファベットは、ビザとゼネラル・エレクトリックとともに今日後半に決算報告を予定しています。

これまで決算報告をした企業の大多数は収益予想を上回っている状況ですが、多くの株式、とりわけハイテク株は今年既に大幅に上昇しているので、今年度のガイダンスがポジティブかネガティブになるかが多くの投資家の注目するところとなるでしょう。